あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

  ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所−1−

barvirgo2011-12-19

昨日世界的にも評判の高い「イチローモルト」を生産しているベンチャーウイスキー秩父蒸溜所を約3年ぶりに訪れました。
まだ一般の方が申し込んで見学出来る蒸留所ではないので、見学させて頂ける自分が少しでも秩父蒸留所のことを皆さんにお伝え出来ればと思います。
また東京からも近いので、バー等飲食業界の方は申し込めば見学出来る筈なので是非見学に訪れて欲しい蒸溜所です。
そして昨日は、「あるじの店」のお客様など含め12名で見学に行きました。
西武池袋線のレッドアロー号に乗れば約1時間20分前後で西武秩父駅に着くので、あるじ達は午前9時半のレッドアロー号に乗り、秩父の町で昼食(お蕎麦)を食べ、それからタクシーで蒸留所に向かいました。
タクシー代は3,500円弱でした。

秩父蒸留所は3年前に来た時より施設が増えていて、フロアモルティングをする建物と樽の加工場が新たに完成していました。
また歩いて10分程度の所に新たな貯蔵庫も出来たそうです。
そして社長の肥土氏に説明をして貰いながら蒸溜所を見学しました。
現在秩父蒸溜所では、原料のモルト(大麦麦芽)をスコットランドイングランド、 ドイツから輸入しているそうです。
また地元産の大麦で造りたいという思いもあるそうで、3年前から地元の契約農家さんで大麦を生産してもらっているそうです。
そしてこの大麦は、みょうぎ二条という品種だそうです。
スコットランドでよく使われるゴールデンプロミスやオプティックも試したそうですが、気候風土が合わないのかちゃんと育たないそうです。
それで、製造工程順に案内して頂いたので、まず最初に見せてもらったのがミルルーム(麦芽を粉砕する部屋)でした。
使うモルトの品種や季節気候によりミル(粉砕機)のローラーを調整しないと上手く粉砕出来ないそうです。
何時も同じって訳にはいかないんですね!
左:ミルルーム   中:ウイスキー原料のモルト   右:タッパーの中に粉砕されたモルトのサンプル
そして次に見せて頂き説明をしてもらったのがマッシュタン(糖化槽)と糖化方法についてです。
ミルルームで粉砕した425kgのモルトを64度のお湯1,700Lと合わせながらマッシュタンに投入し約30分静置する間に糖化酵素が働いて甘い麦汁が出来るそうです。
そして、その麦汁をゆっくりとマッシュタンから抜き、約1時間半から2時間かけて20度まで温度を下げ、それから醗酵槽(ウォッシュバック)に移すそうです。
で、この時取れる麦汁は約1,000Lだそうです。
そしてマッシュタンに2回目のお湯(76度)1,000Lを加え、まだマッシュタンの中に残っている糖分を含んだ麦汁を効率よく取り出すのだそうです。
そしてこの2回目の麦汁も1時間半から2時間かけて20度まで温度を下げ、1回目に取り出した1,000Lと合わせ約2,000Lの麦汁が醗酵にまわるそうです。
そして、マッシュタンには3回目のお湯(96度)を1,250L投入し、まだマッシュタンに残っている糖分をそのお湯(第3麦汁)で全て取り出し、この取り出した第3麦汁を次の1回目の仕込みの時に使うそうです。
そうする事によって無駄なく効率よく糖分を取り出すことが出来、これで出来る ウイスキーの量も1割以上変わってくるそうです。
そして糖化を終えた後マッシュタンに残った麦芽カス(ドラフ)は牛の餌として餌屋さんに引き取ってもらっているそうです。
(続く)
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