あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

  ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所−3−

barvirgo2011-12-21

醗酵の次は蒸留です。
4日間かけて醗酵し、約7%になった約2,000Lのウォッシュを先ず1つ目の蒸留器(ウォッシュスティル/初溜釜)に入れ、スチームの間接加熱で約6時間蒸留するそうです。
そうするとアルコール度数で 20%超、量で約700〜800Lになり、これをローワインというそうです。
そして、このローワインを2つ目の蒸留器(スピリッツスティル/再溜釜)に入れ、 また約6時間蒸留するそうです。
そして、流出するスピリッツを3分割し、流出順にヘッド、ハート、テールと秩父蒸留所では呼んでいるそうです。
因みに蒸留所によっては、ヘッドの部分をフォアショットと呼んでいたり、テールの部分をフェインツと呼んでいたりするところもあります。
それで、この3分割したハートの部分だけを樽熟成に回すそうです。
そのヘッドからハート、ハートからテールに切り替える作業をミドルカットと呼び、 2つの蒸留器(ポットスティル)の間に置かれているスピリットセーフにあるレバーで切り替えているそうです。
そしてこのタイミングというのも、ある程度アルコール度数や時間もあるそうですが、秩父では人間の5感、要は香りや味わいを重視して、その都度テイスティングして切り替えのタイミングを変えているそうです。
そして最終的に樽詰めに回されるスピリッツの量は、約220L程度だそうです。
1回の仕込が2,000Lですから、約11%しか樽詰めには回されないって事なんですよね〜・・・
また秩父蒸留所のポットスティルは、小型(容量約2,000L)で背が低い(スティルとスピリッツの接地面積が大きく、気化した成分をたくさん集めやすい)ので芳醇でリッチ、ヘビーで飲み応えのあるウイスキーに仕上がるそうです。
そして今回の説明ではあったか聞き逃したのかもしれないのですが、秩父蒸留所のポットスティルの容量2,000Lというのは、スコッチウイスキーを造る上で法的に決められている最低容量で、日本のウイスキー造りではそんな法律はないのですが、肥土氏が世界に出しても通じるウイスキーを造るということで2,000L入るスティルにしたそうです。
で、こうして出来たスピリッツ約20回分ぐらいを1つのタンクに集めてから樽詰めに回すそうです。

左:秩父蒸留所のポットスティル  中:説明をしてくれる肥土氏  右:スティルのマンホールに書いてあるフォーサイス(社製)の文字
(続く)
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