あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

  ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所見学 −4−

barvirgo2012-10-28

秩父蒸溜所に行って聞いて来た、新たに始めようとしているモルティングや製造工程について前回まで書いたので、今日は貯蔵庫で聞いた話を書きます。
秩父蒸溜所の貯蔵庫は、ダンネージ式という土の上に木のレールを敷き、樽を基本3段(小樽だけは4段目)に積む方式をとっています。
これは、床前面にコンクリートを貼りラックを組んでたくさん樽が置けるよう効率を求めるより、なるべく秩父らしい秩父の自然の影響を受けさせる為にこの方式をとっているそうです。
使用している樽はシェリーバット、バーボンバレル、ホッグスヘッド、パンチョン樽、赤ワイン樽、マデイラワイン樽、ポートワイン樽、ラム樽、ミズナラ樽等などなど色々使っているそうです。
これは、まだ秩父で蒸留した原酒がどの樽で熟成させるのが一番良いのか分からない段階なので、色んな樽で熟成させる事によって、秩父に最も適した樽が何か知る事が出来ればと考え色々使っているそうです。
そして秩父蒸溜所でもっとも大きい樽はポートワインの樽で容量にして600L超あるそうです。
それと、熟成についても幾つか話してくれました。
ウイスキーは熟成していく間に樽の中から少しずつ減っていく現象(エンジェルズシェア)が起こるのですが、それが簡単に言うと温度変化によるもので、樽の中の原酒が膨張したり収縮する事によって起こっていて、それがウイスキーを美味しくしているので、四季のある日本のウイスキーが世界的に高い評価を受けているのは、日本に明確な四季があるからじゃないかと考えている事、なので夏は35度以上になる事があったり、冬は年に数回はマイナス10度近くまで下がる事のある秩父は、寒暖の差が大きく良い熟成をするんじゃないかと考えているそうです。
また樽の大きさや樽の置き場でも熟成が変わるそうで、大きい樽ほどゆっくり熟成し、小さい樽ほど早く熟成し、たった3段でも下の方がゆっくり熟成し、上の方が早く熟成するそうです。
それと樽による熟成の要素についても教えてくれました。
それは大まかに言うと4つだそうで、1つは着色(抽出)、2つ目は原酒のもつ不快な成分を取り除く蒸散、3つ目はアルコールと水が長期間同居する事によってまろやかになる会合現象、そして4つ目はスピリッツと樽が長期間同居する事によって化学反応が起こり新たなフレーバーが生まれるそうです。
こうやって色々聞いてみると、樽熟成って面白いですよね!
そして、まだまだ色々と試しながらウイスキーを造っていると仰っていましたが、秩父ならではの美味しいウイスキーを造ろうとされている肥土氏の熱い情熱を感じ、自分も頑張ってこの秩父ウイスキーを広めなければと強く思いました。
なので皆さんも機会があれば是非、秩父ウイスキー(イチローモルト)を飲んでみてください。
日本のウイスキーって、本当に美味しいんだという事をイチローモルトが教えてくれます。
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