あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 シングルモルトウイスキーって?

最近何人かのお客様から「シングルモルトウイスキーって何?」って聞かれる事がままあります。
実はシングルモルトウイスキーって名前は聞くけど実はよく知らない、という方が結構多いようです。
バーテンダーでも実は知らない、なんて方もいらっしゃるかもしれません。
なので今日は、シングルモルトウイスキーについて説明をしたいと思います。
シングルモルトウイスキーというのは、簡単に言うと単一の蒸留所がモルト(大麦麦芽)を原料に単式蒸留器(ポットスティル)で蒸留・製造したウイスキーの事です。
なので、例えばニッカの余市蒸留所で蒸留して造られたウイスキーシングルモルトで、余市蒸留所と宮城峡蒸留所で造られたウイスキーブレンドして造られたウイスキー(竹鶴)はシングルではなくブレンデッドモルトと呼ばれる事になります。
因みにダブルモルトじゃないの?なんて思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、日本では少ないのですが、スコットランドではもっと複数の蒸留所で造られたモルトウイスキーブレンドしたブレンデッドモルトもあるので、2つの蒸留所の原酒しか使っていないからといってダブルモルトとは言っていません。(言っても今のところ問題はないと思いますが・・・)
またシングルモルトウイスキーというと、ブレンドしていないと思われている方が多いようですが、実は単一(余市なら余市)の蒸留所内で造られたモルトウイスキーであれば幾つもの樽に入っている原酒をブレンドしても、それはシングルモルトウイスキーと言います。
だからたとえ2樽でも余市と宮城峡の原酒を合わせてモルトウイスキーを造ればブレンデッドモルトになるし、500樽だろうと1,000樽だろうと余市蒸留所の原酒だけをブレンドしたのであれば、それはシングルモルトウイスキーなのです。
ただ、実際お客様とお話をしていると、ここに引っかかる方が多いようです。
「シングルなのにブレンドしているの?」って思われるようです。
まぁ確かに全ての樽が同じ様に熟成するのであれば幾つもの樽で熟成させた原酒をブレンドする必要はないのかもしれませんが、同じ材質の樽でも同じ様には熟成しませんし、各蒸留所では色んな種類の樽も利用しているので、逆にブレンドしないとボトリング毎に違う味になってお客様から毎回味が違うと信頼されなくなってしまうのです。
なので各蒸留所にはブレンダーの方がいらっしゃって、自分のところの味はこれだというものを決め、常にその味になるよう幾つもの原酒を組み合わせ、皆さんがそれぞれのシングルモルトがこんな味だと安心して飲めるようにしてくれているわけです。
やはり「山崎12年」を買って飲んだけど前回買ったのとは味が違ったじゃ、なんか変ですものね!
なのでシングルモルトウイスキーというのは、単一の蒸留所の原酒であればブレンドしてあってもブレンデッドではないと覚えて頂けると幸いです。
まっ、それ以外にもシングルモルトウイスキーについて補足説明をしないといけない事は幾つかあるのですが、先ずは上記のことを覚えて頂ければと思います。
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