あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ウイスキーの価格

最近(実は昨日も)話題に上ったのですが、S社のウイスキー値上げに関して納得がいかない方が多いようです。
まぁあるじも値上げに関しては嬉しくないし、出来ればして欲しくありません。
ただ幾つも蒸留所を周ってみて思うのですが、ウイスキーってこんなに安くて儲かるものなんだろうか?というのがあります。
正直原料の大麦が幾らなのか(変動するので)分かりませんが、決して安くはありません。
そして樽だって昔に比べどんどん値上がりしています。
またウイスキーは造って直ぐに売る事は出来ず、スコッチだったら最低3年の熟成が必要です。っていうか3年の熟成で世に出るウイスキーは稀です。
飲めない訳ではありませんが、より味わい深く芳醇な香りを生むにはある程度の年月が必要だからです。
しかし、その年月はエンジェルズシェアというウイスキーが樽の中から減っていくという現象も生むのです。
それも年に約2%、10年物のウイスキーだったら約20%も減る事になります。
なお且つウイスキーには税金が掛かるのです。
しかもスコッチウイスキーは輸入品なので酒税プラス関税も掛かります。
にも拘らず最近のシングルモルトスコッチのスタンダード品(10年〜12年熟成)は5,000円以下で買える物がたくさん有るのです。
ブレンデッドウイスキーにいたってはもっと安い物もたくさん有ります。
変な話あるじがこの業界に入った30年近く前の方が今よりウイスキーは高かったです。
まぁそれは税金が高かったからというのもあるのですが、それにしても原材料費、人件費、樽代、エンジェルズシェア、税金といったことを考えると、ウイスキーって安いな〜とあるじは思う訳です。
もちろん高いウイスキーもありますし、その値段は無いんじゃない?と思うものもあります。
そこはまぁウイスキーを飲まれる皆さんがそのウイスキーに対して個別に判断し、この価格なら買っても良いとか、それなら買わないと判断してもらえればと思います。
なので今回S社が輸入するウイスキーで値上がりする物に関しても、その価格がコストパフォーマンスとして合わないと思われる方は買わなければよく(実際あるじは買いませんが)、その価格でも飲みたいと思われる方が買うということで良いのではないかと思います。
ただ、ウイスキー造りの現場を見て言えるのは、造り手の拘りや手間ひま、そして年月を思うと、高く感じるかもしれないですが、ウイスキーって思いの他安く飲める佳酒なんだという事です。
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