あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ウイスキーの味って?

BAR Virgoはウイスキーをメインにしたバーなので、お客様からウイスキーの事をよく聞かれます。
まあ当たり前といえば当たり前ですが、その聞かれる中でよくあるじか感じる事を今日は少しばかり書かせて頂きます。
先ず聞かれる事の中で多い1つは、「全部飲んだ事があるの?」というものです。
世界中のウイスキーを全部飲むのは不可能ですが、Virgoに置いているお酒に関しては全て飲んでいます。
それはウイスキーもそれ以外もです。
もちろん仕入れるまで飲むことの出来ないお酒もありますが、極力仕入れる前に試飲もしますし、試飲出来ないお酒に関しては店に届いてからお客様に出す前に必ず飲みます。
自分が飲んだ事のないお酒をお客様には提供出来ないですからね。
そして2つ目は味についてよく聞かれます。
ウイスキーの味、それはもちろんお客様がその時飲もうとする物について聞かれる事も多いのですが、「同じウイスキーなのに味が違う事があるのだけどそれは何故か?」といった事も結構聞かれます。
ワインなんかの醸造酒だと、栓を開けたら酸化が進み味が変わってしまうという事は比較的よく知られていますが、ウイスキーだって時間が経てば徐々に変化するという事をあまり知られていないのが、その要因の1つだろうとあるじは思っています。
そうなんです。ウイスキーだって時間が経てばとてもゆっくりではありますが味わいは変わっていくのです。
但しそれは本当にゆっくりなので、口開けしたばかりの物とある程度時間の経過した物とを比較テイスティングでもしない限り通常では分からないレベルの変化なのです。
またウイスキーの味わいは、他のお酒もそうだと思いますがグラスの形状にも左右されます。
グラスに香りが溜まりやすい物と飛んでしまう物では当然拾える香りの量が違ってしまいますからね。
香りが味わいに与える影響はとても大きいのです。
また香りはある程度空気に触れたほうが広がるので、実は口を開けたばかりのウイスキーより口を開けてからある程度時間の経過したウイスキーの方がより香りが豊かになりますし、飲んだ時の味わいや余韻もしっかりした感じになるのです。
まっ、そんな事もあって基本Virgoでは口開けウイスキーをお客様に出さないようにしています。
口を開けたばかりのウイスキーでは香りが開くのにある程度時間が掛かるし、味わいもはっきりしないところがあるからです。
出来れば注いだ時から香り豊かで、はっきりそのウイスキーの個性を感じられる方が良いですものね。
とはいえそれでもあるじが飲んでから仕入れたお酒だと、たまに店に届いたボトルの口開けがお客様になってしまう事があるのはご愛嬌とお許しください。
それと同じウイスキーなのに味が違うという事に関して、日本で販売している物とスコットランドで販売している物の味は違うか?という事もよく聞かれますが、確かに同じウイスキーでも国内向け海外向けに造り分けしている物もありますが、基本的には全く同じ銘柄の物であれば同じ味わいだと皆さんが感じられるように造っています。
それどころか味わい的にはその違いが一般の方には分からないレベルで良し悪しがある場合は、良いと思われる方を海外に出荷するようにしているそうです。
国内流通の方に良い物を出しているんじゃないか?なんて思われる方もいらっしゃるようですが、マーケットとしてみたら海外の方が大きく、そこでリピーターを増やした方が成長が見込めるので、よく考えると当然といえば当然の戦略なのです。
なのでスコットランドで飲むウイスキーより日本で飲むウイスキーの方が、同じ商品なら美味しい可能性が高いのです。
但し、お酒の味わいには場の雰囲気というものもあるので、スコットランドの風土・気候の中で飲むウイスキーが格別なのは、言うまでもありません。
あと味わいに関して言えば、今でも正規代理店が輸入しているウイスキーとこれはどんな会社なのといった正規ではない並行業者が輸入しているういすきーでは、同じ味わいだと言える物もあれば味が違ってしまってると言える物もあります。
並行品は流通ルートがハッキリしない為、どんな運び方をされているか分かりませんからね。
もし定温コンテナではなく通常のコンテナで運ばれていたら、コンテナ内は80度以上にもなるそうなので、流石にウイスキー蒸留酒といえどもその味わいに変化が無いという保障はありませんからね。
あとウイスキーの味わいに関して言えるのは、全く同じ物でも違う人間が飲めば違った味わいに感じるのがウイスキーだろうと思っています。
それについても書こうと思いましたがだいぶ長くなってしまったので、今日はここまでといたします。
もし最後までお読みくださったのあれば、あるじ心より感謝申し上げます。

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