あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 アードベッグが

barvirgo2015-09-07

ISS(国際宇宙ステーション)で行なわれた実験の結果を発表しました。
2011年10月にISSに運ばれたアードベッグのニューメークとチャーしたオークの木片(vial/バイアル)、昨年9月に地上に戻り、約3年間無重力に近い状態でどう熟成が進むのかという実験の結果を発表したのです。
この実験ではISSにバイアルを送ってからISS内でニューメークがチャーした木片と触れるようにし、全く同じ時間に同じ様に準備されたバイアルをアードベッグ蒸溜所でもニューメークと木片が触れるようにして、宇宙空間と地球上ではどういう違いが生まれるのか調べたそうです。
結果、ISSと地上とでは明らかに香りといい味わいといい違ったそうです。
な〜んて話を実は先日ビル・ラムズデン博士が来日した際に聞いてはいたのですが、正式な発表はまだと仰っておられたので、やっと今日皆さんにも紹介することが出来ます。
そして、なんとなく想像はしていましたが、やはり重力が働くのと働かないのでは大きく結果が違ってしまうんですね。
因みに香りと味わいがどう違ったのか英語ではありますが、下記に貼りますので全文訳さずとも説明がかなり違うのは理解出来ると思うので宜しければご覧下さい。
Space sample: "Its intense aroma had hints of antiseptic smoke, rubber and smoked fish, along with a curious, perfumed note, like violet or cassis, and powerful woody tones, leading to a meaty aroma.
"The taste was very focused, with smoked fruits such as prunes, raisins, sugared plums and cherries, earthy peat smoke, peppermint, aniseed, cinnamon and smoked bacon or hickory-smoked ham. The aftertaste is intense and long, with hints of wood, antiseptic lozenges and rubbery smoke."
Earth sample: "The sample had a woody aroma, reminiscent of an aged Ardbeg style, with hints of cedar, sweet smoke and aged balsamic vinegar, as well as raisins, treacle toffee, vanilla and burnt oranges.
"On the palate, its woody, balsamic flavours shone through, along with a distant fruitiness, some charcoal and antiseptic notes, leading to a long, lingering aftertaste, with flavours of gentle smoke, tar and creamy fudge."
如何です?だいぶ書いてあることが違いますよね。
そしてあるじ的になるほどと感じたのは、あるじは宇宙ではたいして熟成は進まないのではないかと思っていたのですが、決してそんな事はなく、やはりニューメークの分子とオーク材の分子が触れ合っていれば何かしら変化は起こるんだという事です。
まあこれからもっと色んな実験をすると、より熟成の神秘について分かってくるようになり、また新たな味わいのウイスキーを生み出すことが出来るようになるのかもしれませんが、個人的には何時までも分からない事があるからウイスキーは美味しい!という飲み物であって欲しいです。

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