あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

サントリー白州蒸溜所 2015秋

barvirgo2015-12-08

BAR Virgoでは、よく蒸溜所を見学するツアーを催行しています。
今年も数回行ない、11月末には約1年半ぶりとなるサントリー白州蒸溜所の見学ツアーを行いました。
なのでここではその時の写真を中心に紹介したいと思います。
そこで今回あるじ達がお世話になったのが写真の佐野 博氏、ほぼ白州蒸溜所一筋という白州ラバーの方でした。
とても丁寧に案内して頂き、本当に嬉しく有り難かったです。
この場を借りて心より御礼を申し上げます。

この写真は現在蒸溜は行われていない昔の蒸溜室、当時は現在のように幾つかのタイプのポットスティルで造り分けするのではなく、この大きな同じ形のポットスティルで大量生産していたのです。
しかも現在見学で見ることの出来るスティルハウス内もこれと同じポットスティルだったのです。
そしてこの蒸留室を通り抜けた先にセミナールームがあります。

そこで先ずはどうして白州にサントリー第2の蒸溜所が出来たのか?そのコンセプトなどの説明を聞きます。
ここで全ては書けないので簡単にいうと何といっても水で、そして他とは違う気候風土が次に挙げられるそうです。
なにしろ水はスコットランドはもとより山崎に比べても硬度が低く、山崎が94のところ白州は30なのでとても柔らかいそうです。
という事で白州蒸溜所がこの場所に出来た訳が分かったところで蒸溜所内の見学です。

ここではモルトウイスキーの原料となるモルト(大麦麦芽)や、それを乾燥させる為に使われるピート(泥炭)について話を聞きます。

そしていわゆるタンルーム、巨大なマッシュタン(糖化槽)の前では動画でマッシング(糖化)の説明を聞き、ウォッシュバック(醗酵槽)は醗酵が始まったばかりのウォッシュバックとそろそろ醗酵も終了というウォッシュバックの中の様子を見せて頂きました。
まあこの日使われていたのがどういった酵母なのかは聞きませんでしたが、白州蒸溜所ではディスティラリー酵母とエール酵母、ともに使っているそうです。
そしてこの日は木製のウォッシュバックとしか説明されませんでしたが、確か白州蒸溜所ではダグラスファー(米松)が材として使われている筈です。

で見学のメインはやはりスティルハウス、蒸溜室です。
先ずはスティルハウスの前で蒸溜の説明、それから特別にスティルハウス内に入れてもらい、稼動している蒸溜所の熱というのを肌で感じさせてもらいました。
あるじは現在のように毎日蒸溜をしていない時代も知っているので、その違いを凄く感じてしまいます。

そして見学の最後はウェアハウス(貯蔵庫)です。
今回入ってみてビックリしたのは30分も居たら倒れてしまうんじゃないかというぐらい強く感じたアルコール臭です。
今までに何回も入っていますし、昨年は6月の暖かい時に入っていますが、これまでには感じられなかったほど強くアルコールを感じたのです。
なのでこれまでにないぐらいこの見学用の貯蔵庫にも原酒が収められているんでしょうね。
これには本当にビックリしました。
因みにここ貯蔵庫では熟成樽の説明と、白州蒸溜所はラック式の貯蔵庫なので、どうやって鏡板の文字も真っ直ぐになるのかなど収め方の説明なども教えて頂きました。

こうして蒸溜所の見学を終えた後はテイスティング、そして見学の復習ではないですが細かい白州の拘りなど聞いてこの日のプログラムは終えました。
そしてテイスティングでは白州の構成原酒と製品化された白州を飲み比べたのですが、当たり前といえば当たり前、製品化された白州の方が美味しかったのです。
組み合わせるってやはり大事だし、その為に色んなタイプの原酒を造り分けする、こうした取り組みが現在のサントリーウイスキーが世界で評価される要因になっているんだなと、この日は改めて感じました。
但し、「マッサン」の影響恐るべし、白州のショップにはウイスキーのお土産が殆ど無くなっていたのでした・・・
いくら今一生懸命仕込んでいるといっても、直ぐに製品化出来ないのがウイスキー、皆さんも無いものねだりをするのではなく現在身近にあるウイスキーを飲んで、何時かまた熟成を重ねた白州が飲める日を気長に待つとしようじゃありませんか、ね!

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