あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 Scotch Whisky & Peat: A Marriage Made in Scotland

barvirgo2016-01-25

というちょっと面白い記事があったので、ここでもその記事とピートの話を少しばかり書かせて頂きます。
モルトウイスキーの話をすると、よくピート(泥炭)を使って原料のモルト(大麦麦芽)を乾燥させて、それでピート由来のスモーキーな香りがするんです。なんて事を言います。
これはもちろん間違いありませんが、スモーキーなだけでなくピート由来の香りももちろん付くわけです。
まあこれがピーテッドウイスキー、ピーティーウイスキーと呼ばれるものですね。
ただ1年前の朝ドラ「マッサン」の中に出てくる時代とは違い、現在のモルトスコッチウイスキーを造っている蒸溜所の全てがピートで乾燥させたモルトを使っている訳ではありません。
ピートを焚いたモルトを使っている蒸溜所、使っていない蒸溜所、両方使う蒸溜所、またはピートレベル(ピートの焚き加減)の違うモルトを使う蒸溜所など、結構それぞれの蒸溜所がそれぞれの拘りで使い分けをしているのです。
なのでこの点だけでも色んな味わいのシングルモルトウイスキーが造られているのが分かるのです。
そして今回の「小言」のタイトルで紹介した記事では、最近の傾向としてフェノール値で55ppmを越すスーパーヘヴィリーピーテッドというレンジのモルトウイスキーが増えてきていると紹介されています。
要はピーティーウイスキーといってもかなり幅が出てきているんだという訳です。
因みこの記事ではライト、ミディアム、ヘヴィリー、スーパーヘヴィリーの目安として、ライトは2〜10ppm、ミディアムは15ppm前後、ヘヴィリーは25〜55ppm、そして先にも書いたとおり55ppm以上がスーパーヘヴィリーとしています。
これはあくまで目安なので、絶対この通りだというのではなく1つの参考にして頂ければ幸いです。
またあるじがお客様に時々話している事が今回の記事にもありちょっと嬉しかったのですが、ピートといってもそれを掘る場所によってタイプが違い、モルトに付着する香りにも違いがあり、同じピーティーといっても違うんですよ。という事が書かれていました。
まあ大きく分けて3タイプ、スコットランド・メインランドで掘られるピート、オークニー諸島で掘られるピート、そしてアイラ島で掘られるピートです。
メインランドであれば草花や樹木が腐らず堆積していったピート、そして樹木の育たないオークニーではヘザーなど草花だけが堆積して出来たピート、そして海に囲まれ草花や樹木の他に海藻が多く含まれるアイラ島のピートです。
なので何処で掘られたピートを使うかで、同じピーティーといっても違う香りなんだという事がこの記事でも紹介されているのです。
まあ日本ではボウモアラフロイグに代表されるアイラ島モルトウイスキーがピーティーウイスキーとして有名ですが、アイラ島シングルモルトウイスキーに多く感じられる消毒薬や正露丸っぽい香りが=ピーティーではないというのを知って頂けると、おそらくこの記事を書いた方も喜ばれると思いました。
たかがピート、されどピートなのです。
なので簡単にピーティーというのではなく、どんなピーティーさなのかも考えながら飲むと、ウイスキーの楽しみ方にまた幅が出てくるのかもしれませんね。

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