あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所見学2016 〜2〜

barvirgo2016-07-12

ミルルームでは当然ミリング(麦芽粉砕)についても伺いました。
秩父蒸溜所では1回の仕込みに使用する麦芽は400キロ、これをアランラドック社製のモルトミルで粉砕し、グリスト(粉砕麦芽)にします。
まあこれは基本どこの蒸溜所でも一緒ですが、ここでも3つの部分(ハスク、グリッツ、フラワー)に分かれるよう粉砕しています。
ただよくいわれる黄金比率、2:7:1というのがあるのですが、秩父では麦汁を取った時の状態を見て日々その比率を変えてミリングしているそうです。
といった話を伺った後、次は待望の蒸溜棟内の見学です。
蒸溜棟内ではまずマッシング、糖化工程について伺いました。
マッシングでは先の説明で聞いたグリストをマッシュタン(糖化槽)に入れ、そして最初は64度で1,600Lお湯を注ぎ攪拌30分静置するそうです。
この30分の間に麦芽の持つ糖化酵素の働きで麦芽の持つ澱粉が糖分に変わり甘い麦汁に変わるそうです。
そしてこの30分でハスクの部分などが天然の濾過層(フィルター)になりこのフィルターを通すときれいな麦汁が取れるそうです。
そしてマッシングでは1回では麦芽のもつ糖分をすべて回収出来ないのでお湯を3回投入するのですが、2回目に加えるお湯は76度を800L、そして3回目が96度で1,300Lだそうです。
そして取り出した麦汁をウォートと呼ぶのですが、1回目と2回目のお湯で取った2,000Lを次の醗酵の工程に使用する為ウォッシュバックに張り込むそうです。
また3回目に使用したお湯(3番麦汁)は次の糖化工程の時の1回目のお湯として使用し、麦芽に含まれた糖分を無駄なく回収するようにしているそうです。
 
因みにこの動画は秩父で3回目のお湯を投入している時のものですが、96度のお湯をこうしてスプレー状にして注いでいました。
また今回説明では96度のお湯と仰っていたのですが、これは1日1回仕込みの時の湯温だそうで、秩父では現在1回仕込み2回仕込みを1日おきに行っている為、2回仕込みの時は1回目が82度、2回目が89度だそうです。
これは次に仕込むまでの時間など考えてこうなったのだそうです。
確かに次の仕込まで時間が短ければそんなに湯温も下がらないですものね。
でこうしてウォッシュバック(醗酵槽)に張ったウォートの糖分は14%あるそうです。
またマッシュタンに残った麦芽かす(ドラフ)は家畜の餌として売って無駄の出ないようにしているそうです。
それとウォッシュバックに張り込むウォートは、そのまま張り込むと温度が高すぎて酵母を加えた時に酵母が死んでしまうので、熱交換器を通して約20度に下げ張り込んでいるそうです。
そういえばお湯を貯めるタンクも今年から沸かしなおしが出来るようになったと言っていたし、作業効率も少しずつ良くなっている様です。
〜続く〜

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