あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所見学2016 〜4〜

barvirgo2016-07-15

さて、秩父蒸溜所見学で伺ってきた事など書いていましたが、ここまでに2つほどあるじの勘違いというか間違って覚え書いてしまったことがありました。
しかしありがたい事に秩父蒸溜所の方からあるじさん、そこ違いますよと指摘をしてもらえるので助かります。
で間違えたところは既に修正をしているのですが、1回読んだところをまた読まれる方はそんなにいらっしゃらないと思うので、間違った点をここに書いておきます。
まず1つは熱交換器は以前から変わっていなかったという事、そしてもう1つはアードナマッカン蒸溜所のウォッシュバックはミズナラ製ではなくオーク材だという点です。
なのでオーク材のウォッシュバックを使っているのが秩父とアードナマッカンっていう説明だったようです。ミズナラはジャパニーズオークですからね。
という訳で間違った情報を皆さんに伝えてしまい、本当に失礼を致しました。
また多少間違った事を書いてしまう事もあるかもしれませんが、その際はご指摘頂けると幸いです。
で、ここからは前回の続きになりますが2回目の蒸溜、これは初溜1回目の蒸溜で得られたローワインをただ再溜釜でもう1回蒸溜するのではなく、前回の蒸溜の2回目(再溜)の時に樽詰めに回されない部分が出るのですが、その部分も捨てずにとって置いて次の蒸溜の際に初溜で得たローワインと合わせ再溜釜に張り込み蒸溜をするのです。
という訳で2回目の蒸溜では熟成(樽詰め)に回す部分と回さない部部に分けます。
まず再溜を始めコンデンサーで冷やされ出てくる蒸溜液をフォアショットとかヘッドと呼びます。
この部分には揮発性の高いアルコール分が多く香味成分にも欠けていたりするので使いません。
香味成分など秩父ウイスキーとして適していると担当スタッフ(スティルマン)が感じるまでがフォアショットとして流出させているそうです。
そしてここからと担当スタッフが感じたところで切り替えをします。
これをミドルカットといい、ここから樽詰めに回される部分をハートといいます。
ミドルカットは日々気温湿度など変化しているのでこのタイミングという決まりはなく、それこそスティルマンの感覚が大事になってくるそうです。
秩父蒸溜所のスタッフの皆さん若いので、こうした話を聞くと皆さん凄いなと思います。
そしてこのハートの部分で得られる蒸溜液がニューメークスピリッツで、秩父蒸溜所ではアルコール分が約70%、得られる量としては約200Lだそうです。
1回の仕込みに400kgのモルトを使用し、2,000Lのウォッシュ(モロミ)を得、蒸溜を終えるとたったの200Lにしかならないのはまず他の蒸溜所ではありえないぐらい贅沢な原酒造りだと何時もながらに感心します。
そして取り出すハートの部分の蒸溜を終えた後に出てくる蒸溜液をフェインツとかテールといいます。
ここまで蒸溜すると重い必要の無い香味成分なども出てきてしまうのでこの部分とフォアショットは別のレシーバーに入れ、これを次の回の蒸溜にまた使います。
フォアショットやフェインツの部分にも良い部分が少しは残っているかもしれませんからね。
結構ウイスキー造りって無駄が出ないように実は工夫されているんですね。
そして得られたハートの部分、約70%のアルコール度数があるのでこれを加水し、63.5%にしてから樽詰めするそうです。
〜続く〜

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