あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ジャパニーズウイスキーとは?

barvirgo2017-01-31

昨年は、あるじが思っていた以上に新しいウイスキーを造る蒸溜所が日本国内に誕生しました。
ウイスキー好きのあるじとしてはとても嬉しく思っているのですが、一抹の不安も感じています。
それは日本のウイスキーが今までも潜在的なものとして抱えていた問題にもよるのですが、それがあるじの心配や不安というだけでなく海外にも進出し始めたジャパニーズウイスキーという事で海外でもついに取り上げられてしまいました。
因みにその記事の見出しには、「how such an unconventional category, which has no official regulations or definitions, can maintain its global popularity and integrity.」と、このように書かれています。
これはジャパニーズウイスキーは公式な規則や定義が無い型破りなカテゴリーで、これが現在世界中で人気が出始めているがそこに整合性があるのか?的な見出しなのです。
そして確かにその通りで、日本にはウイスキーに関する決まりは酒税ぐらいしかないのです。
なので今まではウイスキーを造るメーカーも少なく自主規制でスコッチウイスキーを範にして造ってきましたが、これからどんどん新しい蒸溜所が増えていった時に、新しい蒸溜所がルールが無い以上どんな方法をとってウイスキーを造っても日本の酒税法さえクリアしてしまえばそれがどんなお酒でもウイスキーとして日本国内では通じてしまうわけです。
実際既に日本国内では海外に持って行ったらウイスキーとして通用しないお酒がウイスキーとして販売されていますしね。
また先に紹介した海外の記事では、今までは日本のウイスキーは殆ど日本国内で消費されていたから気にしていなかったけれど、近年海外でも人気が出てきてジャパニーズウイスキーがどんなものなのか調べてみたら殆ど何の決まりも無いお酒だった事に驚き、それで記事にしたようです。
まあ何のルールも無い中でウイスキー造りが行われていたようなものですから普通に考えたらビックリしますよね。
因みにスコッチウイスキーには沢山の決まりがあります。
時々見直しが行なわれ、前回は2007年に改正(悪)2009年から施行されたのですが、それがこちら The Scotch Whisky Regulations 2009 です。
当然全て英文なので全て読んで理解するのは大変ですが、最初の方に基本的なルールが書いてあり、スコッチウイスキーの造り方をジャパニーズウイスキーも踏襲するなら同じ様に造って貰いたいなとあるじが思っているのが、この「that has been matured only in oak casks of a capacity not exceeding 700 litres」という点です。
要はウイスキーの熟成に使って良いのはオーク材で出来た樽のみで、その大きさは700リッター以下だよってルールです。
以前秩父蒸溜所を訪れた時に肥土社長は仰っていました。
海外にもって行っても通用するウイスキーを造る、その為にポットスティルの大きさも2,000リッターにしたし、オーク材じゃない樽は駄目だと・・・
その通りだとあるじも思うのです。
ただ美味しいお酒を造る、それであるならウイスキーである必要はありませんし、ルールの中で工夫して、そして今までに無いウイスキーをこれから誕生するウイスキーメーカーには造って頂きたいと思うのです。
桜材や杉材も面白いかもしれません、でもそれを使って出来た樽はウイスキーを熟成させる樽とは呼べないし、それで熟成させたウイスキーは日本国内では通用するかもしれませんが、海外では通用しません。
ウイスキーを造るのはとても大変だと思いますし、それに新たにチャレンジされる皆さんを応援したいと思っています。
なので、ルールの無い日本のウイスキーかもしれませんが、どこに持っていってもこれがジャパニーズウイスキーだと胸を張って言える物を造ってもらいたいと切に願い、長くなってしまった今日の「小言」とさせて頂きます。
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