あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 新しくなった「ジュラ」のリリース

barvirgo2018-03-06

で思うこと・・・
スコットランドの西、メインランドとアイラ島に挟まれた場所に位置する小さな島ジュラ、このジュラ島唯一の蒸溜所がリリースしているシングルモルトウイスキーのラインナップを見直し、写真の5種類を4月からワールドワイドで市場に投入すると発表しました。
しかも今回から投入される5種類は全てほんのりとスモーキーな味わいに仕上げてあるそうです。
但し、日本は現在代理店が無いので発売されるか分かりませんし、また日本で発売されても暫くは並行品の可能性が高いので、ここでそれぞれがどうなシングルモルトウイスキーなのかの説明は割愛させて頂きます。
ただあるじ的には「ジュラ」が好きなので欲しいなあ飲みたいなあと思い、最近の日本のウイスキー事情についてちょっと考えてみました。
先ず「ジュラ」については先ほど書いたとおり現在正規代理店がついていません。
でも酒屋さんで時々「ジュラ」を見るよという方は多いかと思います。
おそらく皆さんが酒屋さんで見る「ジュラ」の多くはおそらく並行輸入業者が仕入れた物で、どのようなコンテナで日本まで運ばれてきたかは定かではありません。
まあ通常のコンテナを使っているところが多いと思うのですが、船会社の方に伺ったところヨーロッパから荷物を運ぶ船はどうしても赤道を2回越えないと日本まで来れないのでコンテナ内は80度以上になるそうです。
コンテナ内は風も吹かないので熱が停滞するからそうなんだろうなと思います。
なので正規代理店がついているウイスキーなどはリーファ(定温コンテナ)といって温度管理が出来るコンテナで運ばれるのですが、これは当然通常コンテナより高額で並行輸入業者すべてがリーファを使っている可能性は低いというのが現状のようです。
もちろんなかにはリーファを使っている業者もあるのでしょうが、なかなか店頭に並んでいるウイスキーを見てもそれは分かりません。
なのであるじの店では並行品のスコッチウイスキーは扱わないようにしていますが、当たる外れがあっても良いといって皆さんが買って飲まれるのはありだと思っています。
あるじは仕事なので外れがあると拙いですからね。
それに並行業者はいわゆる正規代理店が輸入しないウイスキーを入れてくれるので現地に行かなくても買えるというメリットがあるのも確かですしね。
それとあるじが気になっているのは、並行業者が入れてくれないと飲めなくなっているスコッチウイスキーが増えていることです。
今回の「ジュラ」もそうですし、昨年末で終了したベンリアックディスティラリー(社)の「ベンリアック」、「グレンドロナック」、「グレングラッサ」、それにあるじが尊敬するリチャード・パターソン氏がマスターブレンダーを務める「ダルモア」、サントリー傘下の蒸溜所の筈なのに扱いが無くなってしまった「グレンギリー」等々それ以外にも実は魅力的なシングルモルトスコッチはたくさんリリースされているのに、日本では正規の代理店が無いのです。
各蒸溜所が造っているオフィシャルボトルであればさほど高くなく安定した味わいを楽しめるのに、です。
他の海外のマーケットで販売するのに日本では販売されない、これは代理店の問題もあるかもしれませんが、実はスコッチウイスキーのメーカーが年々日本のマーケットの重要度を低く見るようになってきたのも実は事実なのです。
皆さんスコッチウイスキー買ってるし飲んでいるよ!と仰るかもしれませんが、急激なウイスキーブーム以降飲まれる様になったり買われる様になられた方も多いせいか、また日本人の気質なのか?普通に酒屋で買えるウイスキーを買って飲むというより、限定品などの珍しいウイスキーばかりが売れているというのが現在の日本のマーケットのようです。
珍しい=美味しいと思われていらっしゃる方が多くなった気がSNS等拝見すると散見されます。
そしてそうなると飲みたい方はもちろん珍しい物を集めたくなるコレクターの方や転売すれば儲かると考える投機家の方達までがウイスキーマーケットに参加され、本当にウイスキーを楽しみたい方達がウイスキーを入手するのに苦労するような変な状況になっている気がします。
あるじは普通に皆さんにウイスキーを楽しんでもらいたいのです。
なので蒸溜所がリリースするオフィシャルボトルを、そして正規代理店がリーファを使って入れているウイスキーをもっと飲んで、スコッチメーカーが再び日本のマーケットに目を向けてもらえる様になってもらいたいと思います。
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