あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

グレンアラヒー(GlenAllachie)

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今月5日に発表された「Scottish whisky Awards(スコティッシュウイスキーアワード)」、スコティッシュウイスキーディスティラリー・オブ・ザ・イヤーをはじめシングルモルトカテゴリーで12年部門と17~20年部門で金賞を受賞したのが表題のグレンアラヒー、2017年に現在のオーナーに替わって蒸溜所も原酒の扱い方も変ったそうで、あるじも気になるシングルモルトウイスキー&蒸溜所なのです。
そんなグレンアラヒーのセミナーに、実はスコティッシュウイスキーアワードの結果発表の日に参加して来ました。
そこで簡単にグレンアラヒー、どんな蒸溜所なのか聞いて来た話をここで紹介させていただきます。
グランアラヒー蒸溜所、創業は1967年、ブレンデッドウイスキーの原酒を供給する為にスペイサイド・アベラワーの南に誕生したようです。
そして1989年にペルノ・リカール系傘下に入り、主に「シーバスリーガル」の原酒を生産していましたが、2017年に現在のオーナー、Billy Walker(ビリー・ウォーカー)氏含め3人のオーナーが買収したそうです。
因みにビリー・ウォーカー氏は前ベンリアックディスティラリーのオーナー兼マスターディスティラー、ベンリアックディスティラリーをブラウンフォーマンに売った時はもう引退するのかと思いましたが聞いたところ、まだまだ現役で頑張る気満々のようです。
で、2017年ペルノ・リカールから蒸溜所を買った時は原酒樽が4万樽近くあったそうです。
この豊富な原酒があったのも実はこの蒸溜所を買った理由の1つだそうです。
たくさんの原酒樽があれば、早くから売れるウイスキーをリリースする事が出来ますものね。
そこで凄いなと思ったのが、もちろん1人で行なった訳ではないのでしょうが最初に在庫の4万樽全てのサンプリングを行なったそうです。
そんなにスタッフが多くはない筈なので本当に凄いなと思いました。
そしてこれによって今払い出しして商品になるウイスキー、まだまだ熟成を続ける原酒、またはリラッキングというそうですが他の樽に詰め替える原酒と洗い出しをしたそうです。
こうした作業があって現在市場に出ている「グレンアラヒー」があり、厳選した原酒を使ったからこそのスコティッシュウイスキーアワードの受賞もあったんだろうと思います。
また生産量は400万リットルだったところを丁寧に時間をかけて造ることにしたため現在は80万リットルまで落としたそうです。
あと造りに関してだとミリング(麦芽粉砕)の比率を一般的な2:7:1(ハスク:グリッツ:フラワー)と説明すれば良いところ、細かく27:60:13と説明されました。
ここまで細かい数字を出すところは珍しいです。
そしてマッシング(糖化工程)、多くの蒸溜所をお湯の投入は3回ですが、グレンアラヒーは4回だそうです。
因みにこの4回、ビリー・ウォーカー氏がオーナーをしていたベンリアック蒸溜所もやはり4回です。
で1回目と2回目に取れた麦汁が醗酵に回され、3回目4回目の麦汁(お湯)は次のマッシングに使われます。
そして醗酵には約160時間、ステンレス製のウォッシュバック(醗酵槽)を使って行なうそうです。
木製のウォッシュバックを使って時間を掛ける蒸溜所をありますが、乳酸菌が住み着かないステンレス製のウォッシュバックで160時間かけるというのは相当珍しい気がします。
通常の酵母じゃそんな長く働かないですしね。
そして蒸溜、初溜・再溜2基ずつの2セットで、1セットずつ違うタイプのニューメークを造れるそうです。
また昨年4月からはピーテッドの仕込みも始めたそうです。
あと熟成に関しては新たに2棟のダンネージ式ウェアハウス(貯蔵庫)を建て合計16棟、内訳はダンネージが2棟のバレル用ラックが10棟、バット用ラックが2棟、それとパラタイズが2棟だそうです。
また詰められてある原酒樽はファーストフィルのバーボン樽が50%、シェリー樽が30%、その他いろいろが20%出そうです。
まあ簡単ですが、これだけでもなんか面白さがグレンアラヒーから感じられると思うのですが如何でしょう?
まだ見学出来るかどうか分からないのですがこの11月、何とか時間を作ってグレンアラヒー蒸溜所を見学し、またそこで新たな発見があれば紹介したいと思うあるじなのでした。