あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

ミクターズ・セミナー ~その2~

f:id:barvirgo:20200131133436j:plain:right:w380さて、ミクターズのセミナーで伺ってきた話の続きですが、前回最後にミクターズには6つの拘りがあるので次回はその事を、と書いたのでその6つについてどんな拘りなのか簡単に紹介させて頂きます。
まあとても見難くて申し訳ないのですが、右の写真にまずその6つの拘りが書いてあります。
なので上から1つずつ紹介させて頂きます。
まず1番上にはAir dry or kiln dry our custom barrelsと書いてあり、樽材の乾燥の事なんですが、他ではそこまで時間はかけないだろうというぐらい自然乾燥に時間を取っていて最低で18ヵ月、長い場合は36ヶ月もかけているそうです。
そして2番目にはToast our barrels before they are charredと書いてあり、樽の内部を焼くのにチャーだけでなくトーストもするトースト&チャーという、より樽材の成分が原酒に溶け出しやすい焼き方をしているそうです。
そして3番目はEnter our rye and bourbon into barrels at lower proof (51.5% ABV vs.Industry standard 62.5%) と書いてあり、これも他の蒸溜所の多くが62.5%で樽詰めしているところ、ミクターズでは51.5%で樽詰めをしていると謳っています。
この51.5%の樽詰めは、セミナーに見えていた輿水氏も結構気にされていました。
で4番目、ここにはHave greater "Angel's Share ”from heat cycling our rye and bourbon barrelsと書いてあり、エンジェルシェア(蒸散)が多くなってもと貯蔵庫にエアコンを入れて加温もしているそうです。
因みにセミナー後にちょっとエンジェルシェアがどのぐらいなのか伺ったところ、1年目が7%で2年目以降はだいたい4%ぐらいだそうで加温するのは10月から3月ぐらい、また実は加温するだけでなく樽の状態を見て樽を置く場所も変えているんだそうです。
そして5番目にはTake individual chill filtration approach for each productと書いてあり、原酒を濾過する際のチルフィルトレーションを樽(原酒)の状態を見て都度都度変えて行なっているそうです。
これには輿水さんも本当に良くやるな的な事を仰っていましたね。
そして最後6番目にはProduce only single-barrel or truly small batch whiskeysと書いてあり、ボトリングはシングルバレルか若しくはスモールバッチで、そのスモールバッチもただスモールバッチと謳っているだけで結構な数の樽を1回のバッチで使用する蒸溜所があるところ、ミクターズでは多くても20樽と本当に厳選した樽だけをボトリングしているそうです。
f:id:barvirgo:20200131135853j:plain:left:w275f:id:barvirgo:20200131140131j:plain:right:w275てな訳で上の2枚の写真はセミナーで輿水さんがミクターズに共感を覚えた事と、注目したモノづくりとしてスライドにあげたものです。
ミクターズ側が拘りとしてあげた6点以外に輿水さんはバーボンとしては熟成年数が長いという点や、日常的に機器を使った分析をしているのはサントリー以上だと仰っていました。
あと個人的に伺った点としては、前回の「小言」でも書きましたがミクターズにはフェーズ・ワンからフェーズ・スリーまで3つの時代の原酒があり、現在市場に流通しているミクターズはどのフェーズなのか?気になったので聞いてみました。
結果、長熟のものは当然フェーズ・ワンで、バーボンとライはフェーズ・ツーとフェーズ・スリーが混在、そしてサワーマッシュに関しては今のところまだフェーズ・ツーをリリースしているそうです。
そして最後個別の質問に答えてくださったMatthew氏曰く、ミクターズはこれからもっともっと美味しくなっていくそうです。

~おわり~