あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 Are we being priced out of whisky?

ウイスキーの価格ってどうなちゃうの?というニュアンス的な記事が英国のウイスキーサイトにあり、あるじも最近お客様と話していてウイスキーの価格について話題になる事もあったので、少しここでも考えてみたいと思います。
ここ数年日本でもちょっとしたウイスキーブームが起き且つ海外でもその少し前からウイスキーブームが起きています。
という事で年々ウイスキーの売上げも伸びていますが、ウイスキーは造っても直ぐに売れません。
ヨーロッパでは最低3年、アメリカでもストレートウイスキーと表記するには最低2年必要です。
しかしこれは最低限ウイスキーと呼べる年数であって、実際に多くの方に美味しいと思ってもらえるようになるには10年近くかかるものが多いのが現状です。
なので急激なウイスキーブームを予測することは難しく当店でもよくお客様に言われるのですが、「山崎」とか「白州」、「竹鶴」の年数表記が入っているものとか売ってないよね。と・・・
もちろん全く売っていないわけではないのですが、まあ入手するのが困難になっているのは間違いありません。
そして日本より先にウイスキーブームが起きている海外でも当然同じようなことが起きており、日本同様年数表記のないウイスキーがたくさん造られるようになり、それが流通しております。
で、まあここまでは原酒不足だしある程度仕方ないなと思うのですが、現地記事でもあるようにここからが問題になってきます。
価格の上昇です。
これにはもちろん流通コストを含む原価の高騰、それとなかなかウイスキーが売れない時代は価格を抑制していた事など値上げしても仕方ない事情も含まれはするんですが、それ以外の理由が大きいと考えられるのです。
その1つがオークションです。
ウイスキーがオークションに出品され始めた頃は飲まないのに家に転がっている物があったので少しでもお金に変えよう、オークションなら定価より安く買えるから買おうといった感じの取引が多かったようですが、最近はコレクターや投資家が珍しいものを高い価格で売買するようになり、そこにインデペンデントボトラーシングルカスクウイスキーをリリースして希少性を売りにまた最初から高い値段設定をする、そうすると蒸溜所でも限定品をリリースしたりラグジュアリー製を売りに高い価格にする、また転売されて転売する投資家に儲けさせるぐらいならとこれもありえない当初価格を設定するなど・・・
な〜んてことになってきています。
こうなると純粋にウイスキーを楽しみたい方が飲めるものは?って事になりかねない状況です。
現地記事では若者にとってウイスキーはステータスシンボルになったと書いていますが、これは良くとればって話で手が出し難いものになったと同じなのです。
そうすると如何でしょう?
若い方達がウイスキーを飲んでくれるようになりますかね。
今はウイスキーが人気ですが、1980年代にウイスキー不況が訪れたように再びウイスキー不況が来ないとも限らないのです。
正直この先ウイスキーの価格が皆さんが何時でも飲みやすい価格で流通してくれるのかはあるじにも分かりません。
ただただ何時までもより多くの方がウイスキーを楽しめる世の中であって欲しいと願うばかりです。
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