あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ノーザンハイランド、オークニーそしてスペイサイド −22−

barvirgo2011-11-24

9月23日(金)、グレンフィディック蒸留所でビデオを見せて貰った後はシニアガイドの方に蒸留所内を案内をして貰いました。
先ずはミリングルーム(原料のモルトを麦汁を取る為に粉砕する部屋)、さすが世界で一番売れているだけあってモルトミル(モルトを粉砕する機械)の数も1つではなく4〜5台ありました。(もっと在ったかもしれませんが、ちょっと忘れてしまいました。)
しかも全てポーティアス製です。
また見学している時も粉砕を行なっていて、部屋中に細かいモルトの粉が舞っていました。

なので万が一を考えると、写真を撮らせてもらえないのは粉塵爆発を起こしてはいけないからなんだという事を実感しました。
とはいえミリングルームの入り口近くだけは撮らせてくれたんですよね。
そして入り口近くにはサンプルのモルトがたくさん置いてありました。
モルトもいろんな種類を試しているんですね。
そして次はマッシングルーム(糖化室)です。
これは、あるじが今まで見た中で一番じゃないかってぐらい大きいマッシュタン(糖化槽)でした。

そして糖化の様子が分かるように側面がガラス張りになっていて、中が見られるようになっていました。
で、あるじも中の様子を見たのですが、モルトがダマにならないよう攪拌用のレイキがとてもゆっくり動いていました。(写真右)
そして次はタンルーム(醗酵室)です。
これまた巨大な木製のウォッシュバック(醗酵槽)が26基ありました。

左:下から見上げたウォッシュバック、高さは約5メートルあるそうです。      中:タンルームを案内してくれたガイドにあるじのヨメ   右:ウォッシュバック
ウォッシュバックの材はアメリカやカナダ産の材を使っているそうです。
そして醗酵後の麦汁のアルコール度数は9%と言っていたので、他の蒸留所に比べると1〜2%高めです。
そして糖化・醗酵と来たわけですから、次は当然スティルハウス(蒸留棟)です。
 
ここも写真は外からだけだったので入り口から撮った写真ですが、この写真と同じスティルハウスがもう1棟あるんですよね。
そしてグレンフィディックはいまだ直火蒸留なのです。
さすがにニッカの余市の様に石炭ではありませんが、ガスとはいえ直火蒸留している蒸留所は減っているので、しかも蒸留所の規模を考えると凄いと思いました。
実際ポットスティル(蒸留器)のそばに近寄り、スティルハウスの床の隙間から下を見ると揺らめく炎が見えました。
それで蒸留の話を聞いた中で一番驚いたのはミドルカット*1のパーセンテージで、たったの13%だという事でした。
マッカラン蒸留所もミドルカットのパーセンテージは低く、16%で結構自慢していたのを思うと、ここに来るまではこれほど低い数字を聞いた事はなかったので、 とてもビックリでしたね!
まっ!話によるとクリアな部分、フルーティーな部分を熟成に使いたいという事のようでした。
そしてこの後はウェはハウス(貯蔵庫)を見せて頂いたのですが、これがまた今まで見たことのないウェアハウスでした。
但しここは撮影禁止だったので、残念ながら写真をお見せすることは出来ないんですよね・・・
で、まず何が驚いたって、ウェアハウスの地面から数ヶ所ホースが出ていて、そのホースからニューポットが出てくるようになっていて、ウェアハウス内で樽詰め作業が出来るようになっていたことです。
またこれも作業をしているところを見ることが出来たのですが、意外と雑で、元の量のたった13%のニューポットだというのに、結構地面に零しちゃっているんですよね。(もったいない)
そしてフィディックならではのソレラシステムで通常では見たことのない大きな樽が2段重ねに置いてあるのです。
フィディックでは、バーボンやシェリーの樽等で他の蒸留所と同じように熟成もさせているのですが、ボトリングする前にソレラシステムの大きな樽に移し、下段の樽からボトリング様に半分抜いたら上段の樽から下段の樽に移す、そして3〜6ヶ月なじませ品質の安定化を図っているのです。
これは言葉で説明するのは難しいので、やはり実際に行って見てもらいたい場所ですね。
こうして蒸留所を見学させて貰い、最後には試飲までさせて貰いグレンフィディック蒸留所の見学は終えました。

左:テイスティングしたウイスキー   中:蒸留所の中庭   右:立派なショップ
あるじここに来るまでは、ただ大量生産している蒸留所だろうぐらいに思っていたのですが、想像以上の拘りと大らかさ、そしてホスピタリティを感じ、フィディックを見直したというかとても好きになりました。
なので、やはり足を運んで自分の目で見ないといけないな、とも思いました。
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*1:ハートとも言い蒸留されて出てきた液体の中で樽詰めに回す部分、そしてその部分をニューポットとかニューメイクスピリッツと言います