あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 バーボンだけが

アメリカのウイスキーではありません。
「あーっ!知ってるさ。ジャック(ダニエル)とかはテネシーウイスキーだって言うんでしょう。」
・・・そう、それもそうなんですが、それだけじゃないんです。
「それも知ってる!他にもライ麦を主原料にしたライウイスキーって言うのや、殆どトウモロコシで造ったコーンウイスキーって言うのがあるんだろう。」
おっ!よくご存知ですね。でもそれだけでもないんですよね。
「へ〜、他にもまだあるんだ?」
はい、あります。
まぁ以前からあるのでは、1934年に発売された「シーグラム セブンクラウン」というブレンデッドウイスキーですね。
良質の原酒をブレンドしたというアメリカ初のブレンデッドウイスキーで、バーボンなどに比べると結構軽く、とても飲みやすいウイスキーです。


しか〜し!!今日ここで紹介したいのは「セブンクラウン」ではなく、アメリカでも 造られているシングルモルトウイスキーなのです。
「エッ!アメリカにもシングルモルトウイスキーなんてあるの?」
はい、あるんです。
数は少ないようですが、アメリカにもシングルモルトウイスキーはあるんです。
1つは「マッカーシー オレゴンシングルモルト」といって、オレゴン州ポートランドにあるクリアクリーク蒸溜所*1で造られています。
蒸留にはポットスティル(単式蒸留器)を使い、熟成にはオーク樽で3年寝かせるそうです。
そして今回1番紹介したかったのは、「あるじの店」でも入荷した
コロラドウイスキーです。

コロラド州デンバーにある「ストラナハン蒸留所」が、ロッキー山脈の北部で栽培された大麦を100% 使い、且つ仕込み水にはロッキーの湧き水を使って造っているのだそうです。
そして蒸留は、銅製の小型のポットスティル(単式蒸留器)で2回行い、一般的なバーボンと違い最適な部分のみ(ミドルカット)樽詰めしているそうです。
こうした事など、丁寧な造り方をしている為、1週間の生産量はたったの3樽分だけなんだそうです。
そして出来た原酒(ニューポット)を、チャーをした アメリカンオークバレルで最低2年熟成させ、その中から吟味した2〜6樽程度(スモールバッチ)が、1回のボトリングには使われるそうです。
スコッチともバーボンとも違う新しい味わいのウイスキーで、熟成期間もけして長くないし、アルコール度数も47%あるのに飲みやすくちょっと不思議な味わいです
本当にスコッチとバーボンを足しで2で割ったような味わいですね。

という訳で、アメリカにはバーボン以外にも色んなウイスキーがあり、スコッチとはまた違うシングルモルトウイスキーが造られるようになってきた、というあるじ得意の長話でした。
最後まで読んで頂いた皆さん、おつきあい頂きありがとうございます。

*1:この蒸留所は1985年にスティーブ・マッカーシー氏が設立し、おもにオー・ド・ヴィー(ブランデー)などを生産しているそうです。そしてシングルモルトウイスキーは、1997年12月から蒸留を始めたそうです。