あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 モルトウイスキーについて

昨日はウイスキーの種類について簡単に説明しましたが、今日はその中から  先ずモルトウイスキーについてもう少し説明させて頂きます。
モルトウイスキーは、その名の通りモルト(大麦麦芽)を原料に造られているウイスキーです。
モルトを粉砕して水(お湯)につけ糖化し、そこに酵母を加え発酵させた麦汁(ビアとかウォッシュといいアルコール度数が約7〜高いところだと10%)を蒸留して、樽で熟成させた物がモルトウイスキーです。
なので、厳密に言うと原料としてはモルトと水と酵母の3つから出来ています。
それで、ここでモルトについてもう少し説明すると、乾燥している二条大麦を水に浸し、ある程度発芽させ澱粉質をたくさん蓄えた物(グリーンモルト)を乾燥させたものがモルトです。
因みに元の大麦は二条大麦と決まっています。
また澱粉質をたくさん蓄えた状態で乾燥させないと伸びた芽が栄養を使ってしまい、酵母を加えてもなかなかアルコールを得る事が出来なくなります。
そして、この乾燥の時にピート(泥炭)を使ったモルトには独特の香りが吸着し、 それがモルトウイスキーの個性になります。
しかし、最近ではピートを使わず、ガスや石炭で乾燥させたり、それぞれを併用して乾燥させている蒸留所もあります。
そして蒸留方法にも決まりがあります。
蒸留は単式蒸留器(ポットスティル)を使わなければなりません。
連続式蒸留機で蒸留した場合はいくら原料がモルト100%でもモルトウイスキーとは認められなくなったのです。
認められなくなったというのも実は最近(2008年)の事で、以前は認められていたのです。
なので、ニッカカフェモルト(2007年リリース)は現在ではグレーンウイスキーって事になってしまうんですよね。
まっ!話が逸れてしまいましたが、要は連続式蒸留機で蒸留すると原料がモルトであろうが他の穀物であろうが、そこに差が出ないという判断があったようです。
あるじはあると思っているんですけどね・・・。
それと樽の熟成に関しては、英国では法律で最低3年熟成させないとウイスキーとは認められませんが、気候に違いがあり熟成の早いアメリカのシングルモルトウイスキーは2年でもリリースされていますし、日本にはウイスキーに関する法律が税制しかないので、一応英国に準じてはいますが、3年以下の熟成でもウイスキーとしてリリースする事は可能です。
また前回も書きましたが、モルトウイスキーにはシングルモルトとブレンデッドモルトがあり、全てが単一の蒸留所の原酒だけでボトリングされている訳ではありません。
で、これでモルトウイスキーについて全てを書いた訳ではないのですが、あまり長くても分からなくなるのでここまでとし、何か質問があればメールを頂くか御来店下さい。
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