あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所見学2016 〜3〜

barvirgo2016-07-13

糖化工程に続いて醗酵工程について伺いました。
秩父蒸溜所で使用しているウォッシュバック(醗酵槽)はミズナラ(ジャパニーズオーク)で造られています。
昨年までならオーク材を使った醗酵槽はここ秩父だけという説明だったのですが、な・な・なんと!現在は秩父以外でもスコットランドの新しい蒸溜所、Ardnamurchan Distillery(アードナマッカン蒸溜所)でもミズナラではありませんが、オーク材で造られたウォッシュバックが使われているそうです。
ミズナラ製のウォッシュバック、ステンレス製などに比べ手入れなどは大変ですが、そこに住み着く乳酸菌が酵母だけでは得られない独特の醗酵をしてくれると考え、またオレゴンパインやダグラスファー(ともに米松製で木製のウォッシュバックでは多く使われている材)とも違った乳酸菌が住み着いて、他とは違う醗酵をしてくれると考え使っているそうです。
という訳で醗酵、約3,100Lあるウォッシュバックに糖化で得た糖分14%、そして温度を20度に下げたウォートを2,000L張り込み、そこに10kgのスコットランド酵母(培養は中越酵母)を加え約4日間(酵母2日、乳酸菌2日)の醗酵を経て約7%のウォッシュ(もろみ)となるそうです。
そして醗酵が済んだウォッシュを上の写真左側のポットスティル(単式蒸溜器)・初溜釜に入れて蒸溜、水とアルコールの沸点の違いを利用して蒸溜することでこの1回目の蒸溜で約7%だったアルコール度数が約20%になり、この状態をローワインと呼び、前回の蒸溜時に樽詰めに回されなかったフォアショット・フェインツ(また後で説明します)と合わせ右のポットスティル・再溜釜に張り込み2回目の蒸溜を行なうそうです。
因みにこのポットスティル、スコットランドフォーサイス社製、初溜・再溜ともに2,000Lと小さく、見ての通りストレートヘッド(ネックの部分にくびれがあったりボールのようなものが無い)で気化したアルコールを集めるラインアームも下向きになっていて、これによりヘヴィーでリッチな原酒を造る事が出来るそうです。
また素材は銅製、蒸溜方法はスチーム方式です。
という事で2回目の蒸溜について伺った事をもう少し書きたいのですが、この2回目の蒸溜がウイスキー造りでは大事な部分なので改めて次回書かせて頂きます。
〜続く〜

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