あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 キルベッガン蒸溜所 〜3〜

barvirgo2017-12-01

10/7(土)、キルベッガン蒸溜所の博物館として保存されていたところを見た後は・・・、 当然現在稼動している蒸溜所部分です。
ただ蒸溜所の規模としてはとても小さく、先ずポットスティルが置いてあるスティルルームから見学するのですが、ルームというのもおこがましい場所に本当に小さなポットスティルが2基、そしてやはり小さなスピリットセーフが鎮座しています。
写真左が初溜釜で右が再溜釜です。
初溜釜は2010年に設置されたそうで、再溜釜はそれより早い2007年に設置されたそうです。
なので蒸留所として再開した当初は初溜をクーリー蒸溜所で行い、再溜のみがここキルベッガンで行なわれていたそうです。
まあそれにしても小さいし面白い形のポットスティルです。
そして写真を通してみても再溜釜の銅がよれよれに見えるように、なんとこの再溜釜は19世紀の中頃にタラモア蒸溜所で使われていたものを持って来た約160年近く前のスティルなんだそうです。
当時のポットスティルの形そのまんまなんだと思うのと、そんな古い物がまだ使える事に驚きます。
そしてスティルルームの置くに入っていくと少し広いスペースがあり、そこはテイスティングエリアでその右手にタンルーム(糖化や醗酵を行なう場所)があります。
なのでポットスティルを見た後にマッシュタン(糖化槽)やウォッシュバック(醗酵槽)を見せてもらいました。
通常の蒸溜所見学は製造工程順が多いのですが、ここでは構造上順序が入れ替わっているようです。

左がマッシュタンで右がウォッシュバックの中でほぼ醗酵が終わりかけているウォッシュ(もろみ麦汁)、訪れたのが土曜日で、このウォッシュは明けた翌月曜に蒸溜すると言っていました。
それとマッシュタンは他の蒸溜所でよく見るレイキ(攪拌する櫂のような物)は付いていませんでした。なので糖化する時は粉砕麦芽がダマにならないよう人の手で攪拌するそうです。
それで写真をあまり撮らなかった事もあり写真だと分かりづらいんですが、マッシュタンは他所から貰った物でかなりの年季を感じウォッシュバックはオレゴンパイン製で新しくと、ポットスティルもそうですが、古くても使えるものは使って新設しないとならないものは新設しているところなどは見学している時は思わなかったんですが、今は無き軽井沢の蒸溜設備も使い新しい設備も使っているガイアフローの静岡蒸溜所とある意味似ているのかなと思います。
そして最後にテイスティングフロアでテイスティング、そこでテイスティングさせて頂いたウイスキーについての説明ももちろん聞いたのですが、ちょっと嬉しくまた残念な話も聞きました。
それはこのキルベッガン蒸留所で造られているシングルモルトウイスキーはまだ販売されていないのですが、なんと来年ついにキルベッガンで初溜も再溜も行なったシングルモルトウイスキーがリリースされるのだそうです。
2010年以前は再溜のみなのでシングルモルトウイスキーとしてリリース出来ませんでしたからね。
なのでついにキルベッガンシングルモルトウイスキーが発売になるのか!って嬉しいニュースなんですが、せっかくここまで来たのにあるじはキルベッガンのシングルモルトウイスキーは買って帰れないのか〜・・・というちょっと無念さも感じた今回のキルベッガン蒸溜所見学でした。
とはいえトータルとしては訪れてとても良かった蒸溜所でした。
遠いけれどまた機会があれば訪れてみたい蒸溜所です。
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