あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ポートチャーロット・テイスティング&ブルックラディ・セミナー

barvirgo2018-07-03

スコットランドアイラ島に在るブルックラディ蒸溜所、小さな蒸溜所ではありますが現在ピートレベルが異なる3タイプのシングルモルトウイスキーを造っています。
フェノール値0、ノンピートの蒸溜所名を冠した「ブルックラディ」、そしてフェノール値を決めないで5日間ピートを焚き込んでもらったモルトを使用して造られているスーパーヘヴィリーピーテッドの「オクトモア」、そして今回のセミナーで話を伺いテイスティングさせて頂いたフェノール値40ppm、ヘヴィリーピートの「ポートチャーロット」英語なら「ポートシャーロット」です。
で、2ヶ月ほど前の「小言」でも書きましたが「ポートチャーロット」がリニューアルされる事になり日本での発売日(9/3)も決まり、それに先駆け今日特別にテイスティングセミナーをアジア地域のブランドアンバサダーをされているクロエ・ウッド女史に行ってもらいました。
先ずセミナーでは簡単にブルックラディ蒸溜所の歴史、そして現在の状況など伺ったわけですが「ザ・アイラ!」、アイラ島に拘った蒸溜所らしく前からスタッフが多いのは知っていましたが現在では93名、横浜の白楽に在る「バー ラディ」の御店主・島田夫妻を含めると95名がブルックラディ蒸溜所で働いているそうです。
そして2004年にアイラ島で大麦を生産してもらう事にした時は1軒だった契約農家も現在では17軒で19名まで増え、その家族まで考えるとブルックラディ蒸溜所がアイラ島の中でとても大きなコミュニティになっているんだなというのを強く感じました。
それと大麦の生産農家は後5軒は増えるそうです。
とはいえ、アイラ島産の大麦(アイラバーレイ)は現在全生産量の33%、安定した生産を考えると100%アイラ島内で賄うことまでは考えていないそうです。
またスコットランド・メインランドの大麦生産農家とは現在55ファームと契約をされているそうで、透明性も売りにしている蒸溜所なのでどう公開するかは検討中ではあるそうですが、これら55ファームについても明らかにする計画があるそうです。
まあ日本でも野菜や肉などで何処の誰が生産したものです。といった透明性で安心・安全をアピールするところが増えていますが、美味しいのはもちろんウイスキーにしたってそのバックグランドが分かった方が安心するというか関心度が増してより楽しく飲める気がするのでこうした取り組みはありがたいなと思いました。
あと伺った話ではこれも「ポートチャーロット」の話ではありませんがモルティングについてで、現状はアイラバーレイでもアイラ島内でモルティングはしておらずインヴァネスのベアード社でモルティングしてもらっており、しかも今回初めて知ったのですが、ブルックラディ蒸溜所で使うモルトに関しては全てサラディンボックスでモルティングしてもらっていって、フロアモルティングでもドラム式モルティングでもないのだそうです。
サラディンボックス!これはここで説明すると長くなるのでまた改めて書かせてもらいますが、先ず間違いなくこの方法でモルティングしているモルトスター(モルティング工場)は少ないんじゃないかと思われるので、かなり珍しい方法を選んで頼んでいたのを知りました。
ただ、以前から何れは自分のところでと言っていた自社でのフロアモルティング、今回目途がだいぶついたのか3年後から始めたいとついに数字として時期について語ってくれました。
という事は順調に行くと2021年からで、2021年はあるじがアイラに行こうと考えている年なので運が良ければラディのフロアモルティングが見られそうで、ちょっと嬉しくなりました。
などなどブルックラディ蒸溜所の話を聞き、そして日本で9月に発売される新たな「ポートチャーロット」をテイスティングし、また一般販売はされていない「ポートチャーロット」の「MP7」、マイクロプロヴェナンス3種の比較テイスティングをさせて頂き、やはりこれだけアイラ島そしてモルトウイスキーに対して拘っている蒸溜所はそうそう無いなと改めて感心させられました。
という訳で、新しく生まれ変わる「ポートチャーロット」始めアイラの素晴らしい蒸溜所が造るシングルモルトウイスキーを是非皆さんも飲んでみてください。
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