あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ビルド

今日の話も、昨夜のお客様との会話がもとで書くことにしました。
カクテルや水割りを作ったりする時に、かき混ぜる事を「ステア」と言いますが、特に水割りやソーダ割り等、直接飲まれるグラスでかき混ぜる事を「ビルド」と言います。
で、その「ビルド」の仕方でもバーテンダーの腕の良し悪しを見ることができます。
そして特に分かりやすいのが、ソーダを使った物の時になのです。
たとえば皆さんが何かソーダを使った飲み物を注文される場合、ソーダのシュワシュワ感が好きで頼まれると思うのです。だから上手なバーテンダーは、ソーダの気が抜けないようにしながらしっかり混ぜることが出来なくてはいけません。
そこで、お客様が上手いバーテンダーかどうか?見るためには、ソーダの注ぎ方から見るといいのです。
上手なバーテンダーなら、まずお酒と氷の入ったグラスにソーダを注ぐ時、ソーダを氷に当てないで直接お酒に当たるように注ぐ筈です。そして「ビルド」は軽く1〜2回しかしないのです。
これは、お酒のほうが軽くソーダのほうが比重が重いため、氷に当ててソーダを入れると、その比重を上手く利用出来ていない為、ある程度「ビルド」しないと混ざらないのですが、直接お酒にソーダを当てて注ぐと、お酒とソーダの比重+ソーダがお酒に当たる衝撃力で、実は殆ど「ビルド」しなくてもお酒とソーダが混ざり合ってくれるからなのです。だからこの場合「ビルド」をしなくてもいいぐらいなんですが、お客様にしてみればそのまま出されると混ぜてないように見えるので、1〜2回程度かき混ぜるのです。
で、そんなあるじもたまに「ジンリッキー」を飲んだりするので、よそで飲む時にあまり何度も「ビルド」されると、「勘弁して、気が抜けちゃう!!」と心の中で叫んでいます。