あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ベンリアック、グレンドロナック&グレングラッサ・セミナー(2)

barvirgo2013-10-31

さて、昨日はベンリアック蒸溜所が歩んできた歴史まで書きましたので、本日はベンリアック蒸溜所の製造について聞いて来た事を書きたいと思います。
先ずベンリアック蒸溜所ですが、製造は7名のスタッフで全て行なっているそうです。
蒸溜所の規模を考えると、思いの他少ないスタッフで製造しているんだなというのが、あるじの受けた印象です。
それから製造の話の前に「ベンリアック12年シェリーウッド」についての話があったのですが、この「ベンリアック12年シェリーウッド」はもともと日本市場向けに作られた物で、蒸溜所のシェリー樽原酒の在庫の関係上現在でも6〜7のマーケットでしか販売されていないそうです。
そしてこれを作る為には、蒸溜所にある250樽のシェリー樽原酒をサンプリングして、その中から9樽を選びボトリングしたそうです。
で、今これを書いていてちょっと疑問に思ったのは、ボトリングするのに選んだ樽は9樽なのに、使っている樽種はアメリカンオークのペドロヒメネス樽50%、ヨーロピアンオークのオロロソ樽50%って・・・、9樽だと4対5か5対4のはずなのに50:50とはちょっと不思議だな?と話を聞いていた時には気づかなかった事にも気づくから面白いものです。
まっ!それはおいといて、それから製造の話に入ったのですが、使用している大麦は全てスコットランド北東部で収穫された物を使用しているそうです。
そして熟成に使う樽はアメリカンオークをメインにしていて、バーボンバレル、ホッグスヘッド合わせ全体の約70%を占めているそうです。
因みにシェリー樽は約20%、それ以外の樽も約10%あるそうです。
で、現在約25,000樽所有しているそうです。
また使用している水について今まであるじも勘違いしていたのですが、硬水を使っている蒸溜所はハイランドパーク、グレンモーレンジィ、グレンリベット、グレングラッサだと思っていたのが、実はグレングラッサではなく、ここベンリアックの方でした。
因みに硬度は180だそうです。
それからベンリアック蒸溜所が他の蒸溜所と違うポイントの一つに、マッシング(糖化)があります。
他の多くの蒸溜所ではマッシングでは3回お湯をマッシュタンに注ぎます。
しかしベンリアックでは4回お湯を注ぐのです。これは本当に珍しいです。
そしてファーメンテーション(醗酵)、ウォッシュバックはステンレス製で醗酵時間は72〜96時間掛けるそうです。
そして蒸溜ですが、ポットスティルはオニオンシェイプ型が4基2セットあり、初溜釜が15,000L、再溜釜が9,600Lの容量の物を使っていて、ここでは再溜時のフォアショットの時間が12分半で、アルコール度数が73%ぐらいの時にミドルカットに移行し、約2時間半掛けてハートの部分のアルコール度数が61%になったらフェインツに切り替えるそうです。
但しピーテッドを仕込む時は、アルコール度数59.5%になるまでフェインツに切り替えないそうです。
またピーテッドを仕込む時は、原料のモルトの時点でのフェノール値が55ppmで、ニューメークスピリッツとして取り出す時のフェノール値は35ppmだそうです。
そして業界のニュースでは再開されたとなっているフロアモルティングに関しては、今回はこれからなんだとは言っていましたが、モルトを買うよりお金は掛かるけど伝統を守る為にも自分達でモルト造りをするんだそうです。
ちょっと分かり難い書き方になってしまったかもしれませんが、だいたいこのような内容でした。
という事で、次回はグレンドロナックについて書きます。

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