あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ウッドフォード・リザーブのセミナー(2)

barvirgo2014-12-08

で聞いて来た話として、前回はアメリカンウイスキーの現在の状況を書かせてもらいましたが、今回は簡単に歴史と造りに対する拘りを書かせてもらいます。
ウッドフォードリザーブ蒸溜所の歴史は古く、その誕生は1812年に遡りエライジャ・ペッパー氏がウイスキーの蒸留を始めた事から始まったそうです。

そして1838年にオールド・オスカー・ペッパー蒸溜所となり、その後1878年にジェームス・グラハム氏が買収、権利の半分をレオポルド・ラブロー氏に売却し、蒸溜所名はその後長きに亘ってラブロー&グラハム蒸溜所(L&G)といっていたそうです。
しかし、全米に先駆けケンタッキーでは禁酒法が可決された為に1917年に閉鎖、禁酒法が解けた1934年に蒸留を再開したものの、禁酒法時代の長きに亘る閉鎖の影響か経営も厳しくなり、1940年現在のオーナーであるブラウンフォーマン社に買収されたそうです。
そしてその後も閉鎖蒸溜を繰り返し、1973年からは20年以上閉鎖していたそうです。
で1994年、ブラウンフォーマン社が再開を決め1996年に蒸溜も再開したそうです。
そしてこの時、蒸溜所自体の建物が古く歴史的建造物であるという事で、現在のバーボンウイスキーの殆どの蒸溜所が取り入れている連続式蒸留機を使わず、建物内に収まるポットスティルでの3回蒸留にする事も決めたそうです。
そして再開後の2003年に現在のウッドフォードリザーブと蒸溜所名を改め、現在に至るそうです。

そして造りへの拘りは強く、上の写真にあるようにグレーン(原料)、水源、醗酵、蒸溜、樽熟成を5大要素としているそうです。

まっ水に関してはケンタッキーで造られるバーボンなのでライムストーンウォーター(石灰質の硬水)で、特徴としては湧き水を使っている点だそうです。
そしてグレーンに関してはセミナーではグレーンの黄金比率として紹介されましたが、コーン72%、ライ麦18%、モルト10%という他の蒸留所に比べると若干ライ麦の比率が高いのが特徴だそうです。
で醗酵ですが、醗酵槽が木桶で、それも米松ではなくイトスギ(サイプラス)を使っているそうです。
このイトスギを使っているのは他にメーカーズマークとフォアローゼスだけだそうですが、現在はイトスギが手に入りにくいらしく、フォアローゼスは交換の際はオレゴンパインにしているそうです。
そして醗酵槽で面白いのは、ケンタッキーは夏が暑いので醗酵槽内にクーリングパイプが入っていて、温度調整をしているそうです。
そして蒸留ですが、先にも書いたとおりポットスティルの3回蒸溜を行なっているのですが、ポットスティルはスコットランドフォーサイス社製で、1回目の蒸溜で20%、2回目の蒸溜で50〜55%、3回目で79%として取り出しているそうです。

で最後の拘りの樽熟成ですが、熟成樽をチャーするだけでなくトーストとチャーを組み合わせ、トーストが22分、ミディアムチャーで40秒という焼き加減の樽を使うそうです。
そして熟成庫が石造りで、石造りの熟成庫を使っているのは他にはバッファロートレースだけだそうです。
そしてケンタッキーの冬場は寒く、石造りの貯蔵庫だと内部がマイナス20度近くになってしまうので、そうすると熟成をしなくなってしまうので、熟成庫にはヒーターが入っているそうです。
で、これはある決まった温度以下になるとヒーターが働くそうです。
こうして熟成させた原酒も熟成庫内では同じ様に熟成する訳ではないので、1回に140樽をバランスよく選びバッティングする事でウッドフォードリザーブが完成するんだそうです。
以上長くなってしまいましたが、なるほど拘っているなというウッドフォードリザーブについて聞いて来た話です。

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