あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 美味しいって

難しい・・・
店をやっていると時々お客様に「美味しいウイスキーを…」というオーダーを頂きます。
その気持ちは凄く分かります。
どうせ飲むなら美味しいウイスキーを飲みたいですものね。
しかし、何が美味しいのか?これは人それぞれ好みがあって、あるじが美味しいと感じたからといって皆さんが美味しいと感じるとは限らないのです。
ウイスキーでいうとアイラモルトに代表されるピートが効いたスモーキー系のウイスキーなどは好きと仰られるお客様と嫌いと仰られるお客様に結構はっきり分かれます。
またピートが効いていてもいなくても好きというお客様もいらっしゃいます。
要は人が口にする食べ物・飲み物は嗜好品なので結局これが一番美味しいという物はなく、世の中には皆さんが美味しいと感じるものと感じないものが混在し、しかも人によってはその感覚が逆転していたりもするのだとあるじなんぞは思っています。
なのであるじとしてはなるべくお客様とコミュニケーションを図り、お客様の好みはどんな感じでどんなウイスキーが美味しいと感じるだろうなど考えそしてお勧めするようにしています。
まっ、外す事も多々ありますがね…
なにしろあるじが好きなもの、美味しいと感じているウイスキーを勧めれば全てOKという訳にはいかないので、これが結構難しいのです。
これに関してはまだまだあるじ自身のコミュニケーション能力を上げていかないとと感じてます。
という訳で世の中には美味しいウイスキーだらけです。
あるじがこれは好みじゃない、美味しいと感じない物だって他の方からすればこれほど美味しいウイスキーは他にはないじゃないか!って事だってあるのです。
好み、感覚ですからね。
そこで最近あるじが気になっている事があります。
皆さんがウイスキーを飲んでいて同じウイスキーなのに味が変わってしまったと感じた事ってあると思うのです。
その時にそのウイスキーが美味しくなくなったと感じる方がいるのはあるじも仕方ないと思っています。
味が変わったと感じた以上、良くなったと感じるか悪くなったと感じるかのおそらくそのどちらかしかないからです。
味が変わったと感じたのに良くも悪くもなっていないとは思う方はあまりいないでしょうからね。
で、味が変わったウイスキーについて美味しくなくなったと感じて「美味しくなくなったよね。」とか自分の周りの方に言うのはまだ構わないのですが、この「小言」もそうですが、ブログやSNSなどネットは多くの方が目にする公共のメディアみたいなものなので、そこで「美味しくなくなった」と書かないで欲しいのです。
美味しくなくなったと感じたのは分かります。味が変わった以上どちらかに振れるのでそう感じた事は否定のしようもないですし…
ただ、人は他人の意見に弱いのです。
誰かがあのウイスキーは美味しくなくなったんだってよ!なんて言うとそれを聞いただけでそう感じてしまう人って結構多いのです。
飲んでみたら美味しいと思うかもしれないのにです。
しかもあるじがSNSとかで散見するこのウイスキーは美味しくなくなったなど書いている方でウイスキーを造った事がある方は見かけません。
自分で造る事も出来ないのに、人が丹精込めて何年も何年も掛けて造ったウイスキーを公共の場とも呼べるネット上で批判するなんてありえません。
もちろん好き嫌いはあって構いませんし、美味しいと感じなかったら飲まなくてもいいです。
ただそれをネット上で目にするとあるじなんぞは悲しくなってしまうので、皆さんも味わいについていろいろ感じたとしても、ネット上では悪く書かないでくださいね。
世の中にはそれが美味しいと感じる方が必ずいるのですから…
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