あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

ミクターズ・セミナー ~その1~

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バーボンも造っていますがライウイスキーやサワーマッシュウイスキーも造っているミクターズ、なのでバーボンウイスキー・メーカーというよりアメリカンウイスキーのメーカーと思って頂いた方がしっくりくるブランドで、そのミクターズのセミナーに久しぶりに参加して来ました。
しかも元サントリーのチーフブレンダー、輿水精一氏のテイスティングセッションも組み込まれたセミナーで、今まで以上にその拘りが強く感じられるセミナーだったのでこのミクターズ、ちょっと皆さんにも紹介したくなりました。
という訳でセミナーで聞いて来た話など少し書きます。
まずミクターズ、そのルーツは1753年ペンシルバニア州で創業したシェンクス蒸溜所、その後19世紀にボンバーガーズ、そして1950年代に入って今のミクターズへとオーナーであったり名前であったりが変わっていき1988年、ペンシルバニア時代の終焉、蒸溜所は閉鎖されてしまったのです。
そんなミクターズ、ブランド自体は20世紀末1990年代後半に復活、ただその頃は稼動している蒸溜所からこれがミクターズだという原酒を購入し自社で熟成させたもので、この時代の原酒をセミナーではフェーズ・ワンと言っていました。
そして21世紀に入り自分達でマッシュビル(原料構成)を決めて自分のところのオリジナル酵母を使って但し、自前の蒸溜所はまだ無いので稼動している蒸溜所を間借りして造っていた時代の原酒をフェーズ・ツーと言い、それから2013年にケンタッキー・ルイビルに自社の蒸溜所を持てるようになり造りはじめた原酒をフェーズ・スリーと呼んで今に至ったそうです。
そして原酒を購入していた当時から味わいに拘っているというのは聞いて知ってはいたんですが、まだ前回のミクターズのセミナーに参加させて頂いた時は自前の蒸溜所が出来たばかりで日が浅く、味に対する拘りは伺ったんですが造りに対するこだわりの説明は今回ほどではなく、造りに対する拘りもここまで凄いのか!って感じが今回のセミナーではとても強く感じられたのでした。
じゃあどれだけ拘っているのか?
どこまであるじが紹介出来るか分かりませんが、その一端でも紹介出来ればと思います。
まず現在のミクターズ蒸溜所、ルイビルに2つの蒸溜所を所有しているそうです。
f:id:barvirgo:20200131142039j:plain:left:w3801つはメインで製造しているShivley Distillery(シヴリー蒸溜所)と、もう1つは街中に在るり見学なども出来るFort Nelson Distillery(フォートネルソン蒸溜所)だそうです。
そしてシヴリー蒸溜所の方はコラム(連続式蒸溜機)&ダブラー(単式蒸溜器)、フォートネルソン蒸溜所の方はポット(単式蒸溜器)&ポットでの製造を行なっているそうです。
これは余談になりますが、ポット&ポットはペンシルバニア時代の蒸溜方法なので、生産規模は小さくとも昔ながらの造りをちゃんと今も残しているんだとちょっと嬉しくなりましたね。
それとシヴリーの蒸溜機はどちらも銅製だそうで、これはアメリカの蒸溜所ではとても珍しいそうです。
f:id:barvirgo:20200131133204j:plain:left:w380また左の写真ですが一昨年の2018年からは自社農場を持ち、トウモロコシにライ麦・大麦と自社での栽培を始め原料造りからボトリングまでの全てを自社で行なうプログラムも始動させたそうです。
そしてこの農場で栽培された穀物類は、フォートネルソン蒸溜所の方で使われているそうです。


原料の穀物造りから製品化まで、本当に拘りがないと出来ないですよね。
でも拘りはまだここから、ミクターズが拘る6つの事というのがあったので、次回はその6つの拘りについて書かせてもらいます。

~続く~