あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

ガイアフロー静岡蒸溜所見学に行って来た! ~その2~

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さて、ウォッシュバック(発酵槽)の容量や数に材質を伺った次に見せて頂いたのは所謂ミリングルーム(麦芽粉砕室)、入って直ぐの場所には大きな鉄製のサイロ(大麦麦芽を入れておくタンク)があり、このサイロには30トン以上の大麦麦芽が貯蔵出来るそうです。
f:id:barvirgo:20200913130749j:plain:left:w380そしてその隣りにはグレーンセパレーターとディストーナーという大麦麦芽をサイロからモルトミル(麦芽粉砕機)に移す前にゴミや小石を取り除くための機械が設置されています。
左写真がグレーンセパレーターで、このグレーンセパレーターの下部にディストーナーがあります。
静岡蒸溜所では静岡産含め国産の大麦も使用しているそうですが、やはりスコットランド産の大麦が多く、またその他ビール用の大麦などを使用しているそうですが、国産はさほどゴミや小石は出てこないそうなんですが、スコットランド産は結構なゴミや小石が混ざっているそうです。
f:id:barvirgo:20200913131748j:plain:right:w380そしてグレーンセパレーターとディストーナーの先にはポーティアス製のモルトミル(麦芽粉砕機)が鎮座しているのです。
このポーティアスのモルトミル、スコットランドの多くの蒸溜所が使っていますが何しろ丈夫、壊れないので有名で、このモルトミルを製造していたポーティアス社を2度も倒産させてしまった伝説の麦芽粉砕機なのです。
日本にもサントリーの山崎と白州、そしてここ静岡蒸溜所の3機のみと、あるじはこれを見られるのを楽しみにしていたぐらい珍しい機械です。
で、このモルトミルが静岡にある理由がヤフオクだそうで、メルシャン軽井沢蒸溜所の閉鎖で、軽井沢蒸溜所の設備一式がオークションに掛けられていたのを他の設備と一緒に505万円で落札したそうです。
そして見学していた時に中村社長がこのモルトミルも何時まで使えるのか分からないと仰っていたんですが、聞くところによると1989年製、ぜんぜんポーティアス社製としては新品で、スコットランドの各蒸溜所で使われている物から考えると後30年ぐらいは余裕でいけると、あるじ的には思いました。
何しろスコットランドじゃ50年物60年物、すごいのになると80年前に造られたモルトミルが現役ですからね。
っと、ちょっと話が脱線しました・・・
そして麦芽の粉砕、麦芽を粉砕したものをグリストと言いますがこのグリストはハスク、グリッツ、フラワーの3つの部分に粉砕比率が分けられるのですが、その多くの蒸溜所が2:7:1を基本としているところ静岡蒸溜所では3:6:1と若干ハスク(籾殻の部分)を多くしているとの事でした。
グリストの比率は次の糖化工程においてとても大切になってくるので、こうしたちょっとした違いを伺えるのはそこの蒸溜所の考え方の一端が見えて面白いです。

で、また長くなってしまったので次の糖化工程からはまた後日書きます。