あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ハイランドパーク・セミナー

barvirgo2012-09-20

昨日はシングルモルトスコッチウイスキーで、スコットランド最北のウイスキー蒸留所で造られている「ハイランドパーク」のテイスティングセミナーに参加してきました。
あるじとしては、ほぼ1年前に訪れた蒸留所のウイスキーセミナーだったので、とても楽しみに、そして現地では英語で全ては分からず、その時には聞けなかった話など聞ければと思い参加しました。
それで今回のハイランドパークのセミナーのポイントとなっていたのが5つで、1つがフロアモルティング、2つ目がアロマティックピート、3つ目がクールマチュレーション、4つ目がシェリー樽、そして5つ目がカスクハーモナイゼーションということでした。
なので簡単に1つずつ聞いてきた事を書くと、先ずは今でもフロアモルティング(大麦をモルトにする為の工程の1つ)に拘っているという事で、フロアモルティングは手間がかかり効率も決して良くないので、スコットランドで現在行なっている蒸留所は少なくなっているが、ハイランドパークでは今でも行なっている数少ない蒸留所の内の1つだという事です。
因みにハイランドパークでは、スティープ(大麦を水に浸す)に2日、発芽を促す モルティングの日数が5〜6日、そして1人当たり1日に20tから30tモルティングするそうです。
そして2つ目のアロマティックピートですが、これはハイランドパークでは当然といえば当然ですがオークニー島(Hobbister Moorという場所)で取れるピートを使っていますが、オークニー島は北緯59度の高緯度にあり樹木が育たない為ピートにはスコットランドのメインランドで取れるピートに含まれる樹木が無く、殆どヘザー(ツツジ科の植物)で構成されている為、ピートを焚いてモルトに付く香りが他とは違う優しいスモーキーさに仕上がるそうです。
そして3つ目のクールマチュレーションは熟成の事ですが、オークニーは北緯59度に在りながら、メキシコ湾流の影響を受け、夏でも最高気温が12度程度で、逆に冬は最低気温が下がっても2度ぐらいはあり、1年を通して涼しい気温が維持されている為、長い熟成に向いているという事でした。
そして4つ目のシェリー樽ですが、ハイランドパークでは現在アメリカンホワイトオークとスパニッシュオーク2つのシェリー樽を使っていて、それもアメリカンホワイトオークであればアメリカのミズーリに行ってハイランドパーク自らが木を選定し、 スパニッシュオークであればスペイン北部で選定した木をそれぞれスペインのヘレスに在るテバサというクーパレッジ(樽工場)に送って樽を造ってもらい、それをボデガに約2年半預けてシーズニングを行なっているそうです。
なので、現在ではバーボン樽は使っていないそうです。(てことはバーボン樽熟成のハイランドパークは見かけたら飲む価値大ですね!)
蒸留所に行った時にも感じましたが、樽に対する拘りはかなり強いですね。
そして5つ目のカスクハーモナイゼーションですが、これは蒸留所にはそれこそ沢山の原酒が眠っており、それを如何に組み合わせて世界中で美味しいといわれるハイランドパークを生み出すかという事で、そこにはマックス・マクファーレン氏というハイランドパークとしては最も大事な役割を担うブレンダーがいらっしゃるという事でした。
そしてスパニッシュオークのファーストフィル、セカンドフィル、アメリカンオークのファーストフィル、セカンドフィル等で熟成させた原酒を12年ものなら約50〜60樽、18年ものなら約25〜30樽ブレンドし加水してアルコール度数46%にし、それをまた樽に詰め最低約半年のマーリング(マリッジ)した後再び加水して43%にして製品化しているのだそうです。
しかしこうやって書いてみると、ハイランドパークは結構拘っているのが分かりますよね。
また上記では書かなかったのですが、ハイランドパークでは蒸留前のウォッシュのアルコール度数が約8%で、初溜で27%、再溜で70%になり、そこにほんの少し加水して69.8%で樽詰めするそうです。
たった0.2%なら加水しなくてもいいのにとか思ってしまうのですが、そこにも拘りがあるんでしょうね。
こうして色々とハイランドパークの拘りなどを聞いた後はテイスティングをさせて頂きました。
まっ!テイスティングについては感じ方なのでここでは書きませんが、珍しい物も飲ませて頂き本当に良いセミナーでした。
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