あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 正規品と並行品

輸入品の世界には、海外メーカーと直接契約をして商品に欠陥がないよう厳しいチェック、輸送手段を講じて販売される正規品と呼ばれる物と、それ以外の色々なルートを通して輸入販売される並行品という物があります。
バーで使用しているものでいうとお酒は勿論グラスなどにも並行品はあります。
例えばバカラのグラスなのにバカラのショップで売っていないなんていうのに並行品があったりします。
まぁしかし、グラスであれば使うのに正規も並行(たまに気をつけないと気泡が入っていたりします。)もそんな大差はありません。
正規より安いので、しっかり見て選んで買えばその方がお得だとさえ思います。
しかし、お酒はそうはいきません。
お酒は例えばウイスキー、同じ銘柄でもアルコール度数が違う物もあれば容量の違う物もあるのです。
そのうえ輸送に関しては、リーファと呼ばれる定温コンテナを使っているのかどうかさえ分からないのです。
で、昔あるじがお世話になったお客様に、日本の船会社ではおそらく3本の指に入る会社の社長にまで上り詰めた方がいらっしゃったので、定温コンテナと一般コンテナではどれほど違うのか聞いた事があります。
定温コンテナはその名の通り、コンテナ内を常に決められた温度にほぼ保つ事が出来るそうです。
そして一般コンテナはというと、ヨーロッパからの場合は赤道を必ず2回跨がないと運べないので、コンテナ内は80度を越える事もあるそうです。
そんな高温でしかも飛行機と違って何日も掛かって運ばれるのです。
ワインが酸化防止剤を入れなきゃいけないのも当然といえば当然ですよね。
なので当然ウイスキーにだって影響が出る筈です。
蒸留酒で殆ど水とアルコールですから傷むことはないんでしょうが、それこそ1%にもみたない僅かな成分で香り味わいに大きな違いのあるウイスキー、一般のコンテナで運ばれたら味に影響が出ない方がおかしいとさえ考えられます。
なのであるじも若い頃は、正規代理店が無く並行品しかないスコッチウイスキーはそれしかないのなら仕方ないと思い仕入れていましたが、個人で楽しむのではなくお客様に提供するお酒なので現在では仕入れることはありません。
だからあるじの好きなシングルモルトウイスキー「ジュラ」も近くの酒屋で売っています。
とはいえ並行品、どんなルートで入ってきたのか分からない以上仕入れることは出来ないのです。
なので早く「ジュラ」を入れる正規代理店が誕生して欲しいと思う今日この頃です。
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