あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 テンプルトン・ライのラベルが・・・

barvirgo2014-09-03

アメリカを代表するギャングといえばアル・カポネ、そのアル・カポネが愛飲していたとして有名な「テンプルトン・ライ」、日本での販売もアル・カポネが愛飲していた禁酒法時代のレシピそのままの製法で造られたウイスキーとして人気を博し、その当時の製法の所為か少量生産でスモールバッチの表記がなされ、品薄状態が続くようなウイスキーがあります。
その「テンプルトン・ライ」がラベルの変更を発表したのです。
というのもラベルの表記が正しくないのではないかと訴えられたからだそうです。
まあ何かといえば訴訟を起こすアメリカ、訴えられた「テンプルトン・ライ」が可哀想とも思いましたが、ネタもとの記事を見ると仕方ないのかなとも思いました。
先ず日本での販売も、『アメリカ・アイオワ州でつくられるストレート・ライウイスキーで、非常に生産量が少ないため、ほとんどがアメリカ本国で消費されてきました。』などと紹介されていますが、実際にはインディアナ州ローレンスバーグに在る蒸溜所で生産されており、しかも禁酒法時代のレシピでもなく、且つスモールバッチどころか大量生産されているそうです。
なので、これでは訴えられても仕方ないですよね。
「テンプルトン・ライ」側は消費者を騙すつもりはなかったと言っているそうですが、これでは・・・
実は「テンプルトン・ライ」はVirgoにもおいてあり、今までお客様にもアル・カポネが、禁酒法時代のレシピが、なんて説明し飲んで頂いていたので、結構ショックです。
「テンプルトン・ライ」側は大きな蒸溜所で生産していても、そこから厳選した少量の樽からのみボトリングしているのでスモールバッチであると考えていたようで、確かにこの考え方は現在多くのスモールバッチ表記のウイスキーに通じている部分でもあるのですが、今回の件によりスモールバッチ及びクラフトディスティラリー等の表記に対し、その定義など法的な整備が検討されはじめているようです。
確かに考えてみると、人間て限定品とか数が少ない物を欲しがる傾向がありますからね。
実際に少量しか生産出来ない蒸溜所と、大量生産出来るけど少量ずつしかリリースしない蒸溜所のウイスキーが共にスモールバッチだクラフトだというのも可笑しいし、それで高い値段が付けられたらたまったもんじゃないですからね。
そしてもう1つ、これは実際に蒸留所の方も仰っていた事でもあるのですが、メーカー側が発表している事は全てじゃないということです。
それは今回のラベル表記みたいに消費者が間違って認識しても良いように、嘘を付くとは言いませんが言わないでよい事は言わず耳に聞こえの良い事しか公表しないということです。
なので例えばウイスキーを買う時も、メーカー側が公開するテイスティングノートを鵜呑みにするのではなく、出来る限り自分の目で鼻で舌で味わってから買って欲しいと思いました。
で、因みに「テンプルトン・ライ」、あるじ的には禁酒法時代のレシピじゃないのは残念ですが、味わい的には好きなウイスキーなので、皆さんもあるじに騙されたと思って一度飲んでみては如何?

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