あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

ウイスキーロッホ再び?

f:id:barvirgo:20190821143954j:plain:right:w400Is a second ‘whisky loch’ brewing?という記事があったので、この記事からあるじも感じた事を書いてみたいと思います。

因みに右のグラフは1971年から2011年まで40年間のスコッチウイスキー生産量、モルトとグレーンそれぞれに全体の生産量の推移を表しています。

ご覧頂くと分かるとおり結構な上げ下げがありますが、1980年代の落ち込みがよく分かると思うのです。
なにしろこの時代は20以上もの蒸溜所が閉鎖に追い込まれましたからね。
そして90年代になって上げ下げが続き、2000年以降はほぼほぼ右肩上がりとなっているのが分かります。
またこのグラフにはありませんが2011年以降も落ち込んだ年もありましたが、傾向的には右肩上がりが今も続く状況です。
そんな中日本でもNHKの朝ドラ「マッサン」以降ウイスキーブームが興り今では原酒不足でウイスキーが足りていない。なんて状況まで生まれています。
ウイスキー不足は困りますが、ウイスキーを飲んでくれる方、興味を持ってくれる方が増えたのはあるじとしても嬉しい事だと思っています。
まっ、そんな世界的にも空前のウイスキーブーム、とはいえここ数年はジンなど他のお酒もブームになりだしていますし、ここまでのウイスキーブームに乗ってそれこそ世界各地で新しいウイスキー蒸溜所が出来、ウイスキーの生産量は増え続けているのです。
これは日本もそうですし、もちろんスコットランドもです。
で思うのがこんなに増えて大丈夫なのだろうか?
それも生産量というより新しい蒸溜所が、です。
少し前まではあるじも新しい蒸溜所が増え楽しみが増えるし嬉しいなと思っていたんですが、それにしてもです。
ちょっと増えすぎなんじゃないかと思うのです。
Is a second ‘whisky loch’ brewing?という記事はスコットランドの話ですが、スコットランドウイスキー製造に関する法律がしっかりしていて、また新しく蒸溜所つくりにも今まで以上に環境に配慮しないと建てられないので、新しい蒸溜所が出来、そこで造られるウイスキーがちゃんとしたウイスキーだとしても、こんなに増えて大丈夫なんだろうか?1980年代ウイスキーロッホといわれたウイスキー不況が再び起こるんじゃないか?と憂えています。
スコットランドでさえウイスキーの生産量や蒸溜所がこんなに増えて大丈夫なのか?って記事が出たのを見た時、日本はどうなんだろうとあるじ的にはちょっと心配になったのです。
もちろん増えて嬉しい気持ちもありますし、日本にはちゃんとしたジャパニーズウイスキーの定義を作ろうという機運はありますが現状定義は無いに等しい状況です。
そうするともちろんしっかりとした考えに基づき何処に出しても恥ずかしくないウイスキーを造るメーカーも誕生すれば、出せば売れるからウイスキーを造ろうと考え、ウイスキーというものがどういうものかは考えず造りだすメーカーも出てきている感じがしてより不安にもなってしまうのです。
確かに今はジャパニーズウイスキーは品不足で人気も高まってます。
ただそれはちゃんとしたウイスキーを今まで造ってきた皆さんの努力があったからで、今後色んなジャパニーズウイスキーが誕生し玉石混合、それもちゃんと造っているウイスキーなら良いですがそれがウイスキーなんて物も増えると・・・、不安になりますよね。
素晴らしいジャパニーズウイスキーがあってもこんな作り方した物はウイスキーじゃないってジャパニーズが1つ出て海外で取り上げられたら場合によっては全てのジャパニーズウイスキーの信用も無くしかねません。
まあ既にジャパニーズウイスキーに疑問を持つ記事は海外で幾つか書かれていますしね。
そしてウイスキーの信用が無くなり飲んでくれる人が減ってしまうのが本当に心配なのです。
ブームだって何時まで続くか分かりません。
今造っているウイスキーが世に出るにはまだ何年も掛かるのです。
ウイスキーが飲み頃になったときに飲む人がいなければ・・・
何はともかく上手くまとめる事は出来ませんが、ウイスキーロッホが起こらない事を切に願うあるじなのでした。