あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

最近のカリラ蒸溜所

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の話!
前回からだいぶ間が空いてしまいましたが、こんなペースでゆるゆると書いていこうかと思っています。
で、表題の最近のカリラ蒸溜所、どのぐらい最近の話かというと今年の3月、なんと!スコットランドウイスキー関連の情報を調べていたら、今年の3月に英国がロックダウンに入る直前にアイラ島の9蒸溜所とポートエレンモルティングスを周るツアーを英国の Institute of Brewing & Distilling (醸造・蒸溜研究所)のスコットランド支部が行なったそうで、その参加者がアイラの蒸溜所を訪れた時のことを書いてくれたので、その最近のアイラの蒸溜所の話という事で、先ずは最初に訪れたらしいカリラ蒸溜所の現在の造りなど簡単に紹介させて頂きます。
さ~てカリラ蒸溜所、創業は1846年でアイラ島最大の蒸溜所です。
現在の蒸溜所は創業当時の蒸溜所ではなく1972年にDCL社(現ディアジオ社)が建てたものでポットスティル(蒸溜器)が初溜・再溜1基ずつだったものを3基ずつの計6基に増やして現在に至っています。
とまあここまでは一般的な話、で今はどうなの?何が変わったの?って話ですがまず仕込みのモルト、「カリラ」といえばピートを焚いたモルトを原料に仕込んでいることで有名で、1990年代後半に一時期蒸溜所の稼動を止めたくないためにノンピートのモルトを原料に仕込んでいたこともありますが、その後はウイスキーの需要も伸びノンピートのモルトなんかしこんでいられないと言っていたのにも拘らず・・・
現在はフェノール値35ppmのピーテッドモルトとノンピーテッドモルト両方仕込んでいるそうです。
そしてマッシング(糖化)でも、取り出す麦汁を麦芽の粒子が結構入る濁った麦汁に麦芽の粒子が極力入らない清澄麦汁の2種類取っているそうです。
麦汁が澄んでいるかいないかでフレーバーが変わるので、この時点でも造り分けをしているのだそうです。
そしてファーメンテーション(発酵)、使用している酵母はマウリ社製でこれは以前と変わりませんが、以前はドライイースト(粉状のもの)だったのが、現在はクリームイースト(クリーム状にしたもの)だそうです。
で、発酵時間も変えているそうで、約55時間と短いものと約110時間と倍近く長く発酵させる2パターン行なっているそうです。
発酵時間を変えればやっぱり香りもだいぶ変わるそうです。
ただ面白いなと思うのは、これだけ倍近く発酵時間が違っても出来るウォッシュ(もろみ)のアルコール度数は8~9%とさほど変わらないそうです。
で最後蒸溜、初溜が5時間の再溜が6時間だそうで、且つ再溜の際のカット(取り出して樽に詰める部分)を現在は狭くして、クリーンでスモーキーさも抑えた原酒を造っているのだそうです。
まあカリラ蒸溜所はシングルモルトウイスキーもリリースしていますがその生産量の95%がブレンド用なので、親会社(ディアジオ)が求めるブレンデッドの原酒を造る蒸溜所って意味合いがより強くなっているらしいです。
といったところが現在のカリラ蒸溜所のようです。