あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 アベラワー12年ノンチルフィルタード

barvirgo2012-02-02

シングルモルトスコッチウイスキーアベラワーというのがあります。
スコットランドのスペイサイドといわれる地域で造られており、日本では知名度が低く正規代理店が手を引いてしまった為並行輸入品しかありませんが、スコットランドはもちろん欧米では結構人気の高いウイスキーなのです。
そのアベラワーもアブーナという特別にボトリングしたものではノンチルフィルター(非冷却ろ過)のウイスキーもリリースしていましたが、スタンダードの12年物は今までチルフィルターを使った(冷却ろ過をした)物をリリースしていました。
ところが昨年ヨーロッパでノンチルフィルターの12年物をリリースし、今年はアメリカでも今月からノンチルフィルターの12年物をリリースすることにしたそうです。
で、チルフィルターとノンチルフィルターって何が違うの?と思われる方も多いと思うので簡単に説明すると、チルフィルターを使うとウイスキー原酒に含まれるオイル分など不溶性の物を凝固させる事が出来、そしてそれを取り除くと加水してもウイスキーが濁る事がなくなります。
しかしノンチルフィルターだとオイル分などの不溶性の物がウイスキーの中に残るので、加水するとウイスキーが濁ってしまう事があるのです。
なので、今まではウイスキーが濁ると消費者からウイスキーの品質が悪いと思われる事が多かった為、チルフィルターを使って加水しても濁らないウイスキーを市場に出すメーカー(特にオフィシャル物)が多かったし、現在でもまだまだ多い状況なのです。
ただそんな中、今回のアベラワー12年の様にオフィシャルのメーカーでもノンチルフィルターのウイスキーをリリースするところが増えてきたのも確かなのです。
まっ!それだけウイスキーを飲まれる方達もウイスキーに関する知識が増え、より本来の味を味わってみたいと思うようになってきたからなんでしょうね。
しかし、果たして日本ではどうなんでしょう?
まだまだウイスキーに対しての知識も広まっておらず、スタンダードな商品では ノンチルフィルターのウイスキーをリリースするのはサントリーもニッカも出来ないのが現状です。
とはいえ、あるじはチルフィルターが悪いと言っているわけではないんですよ。
市場の理解を得られた中でチルフィルターのウイスキー、ノンチルフィルターのウイスキーが出回るのが理想で、市場の理解が無いからノンチルは造れないというのがちょっと悲しいなぁと思うわけです。
だから今回のようにアベラワーが12年物のノンチルフィルターをアメリカ向けにリリースするというニュースは、アメリカ市場の理解が深まってきているのかなぁと思い、ちょっと羨ましく思ったわけです。
まっ!早く日本もそうなると良いなぁ〜・・・
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