あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 Is Older And More Expensive Whisky Really Better?

というヨーロッパの記事に面白いものがあったので紹介します。
これは古い(長期熟成の)ウイスキーや価格の高いウイスキーが本当に良いウイスキーなのか?という意味のタイトルですよね。
この古い方が良いとか、高い方が良いという考えにはあるじも常に疑問に思っていたので、必ずしも古いウイスキーは良くないし、高いウイスキーだって良いとは限らないというのをあるコンペティションのスコアから証明しているのは良いと思いました。
人はどうしても目に見える情報に左右されがちなので、ラベルに20年、30年と表記してあるウイスキーの方が10年、12年と表記してあるウイスキーより長く熟成させているのだから良いウイスキー、美味しいウイスキーと思ってしまいがちです。
また価格でも1,000円、2,000円のウイスキーより、1万円2万円のウイスキーの方が高いんだから良い原酒が使われていて美味しいのだろうと思いがちですものね。
しかし、実際にはそうとも限らないのです。

先ず左のグラフですが、熟成年数を5年以上5年おきに分け、一番右は35年以上熟成のウイスキーの平均スコアを表した棒グラフです。
各熟成年毎のスコアで、最も若い5年〜9年の熟成が一番高いスコアを得ているのが分かります。
これはブラインドテイスティングコンペティションの審査員がつけたスコアの平均なので、ウイスキーの情報無しにリアルに飲んでつけた点数という事になります。
樽に入れて10年にも満たないウイスキーが30年、35年以上熟成させたウイスキーより高いスコアになっているのを見ると、確かに長く樽に入れていれば良いんじゃないのが分かりますよね。
但しこの記事では、10年にも満たないで年数表記されてボトリングされるようなウイスキーは相当良い熟成をした特別な樽からボトリングされたウイスキーだったりするので、皆が皆10年未満の熟成で良いという訳ではないという注釈をつけていました。
そしてこちらのグラフは、ヨーロッパでの価格帯毎の平均スコアを表した棒グラフです。
このグラフでは一番右が300ユーロ以上になっているのですが、やはりスコア的には全体で5番目、その隣の280〜300ユーロに至っては9番目のスコアとなっています。
価格の高いウイスキーは、とても良い原酒を使って造られてはいるのでしょうが、長期熟成原酒を使う事が多い為、コストパフォーマンスとしては見合わないものが多くなっているのがこのグラフで分かります。
なのでこうしたことからも、皆さんがウイスキーを買う際には熟成年や価格だけで判断するのではなく、色んなところで色んな種類を飲んでみて、先入観無しに自分が美味しいと思ったものを買うようにすると良いと思います。
という事もあり、あるじもすべては無理ですが極力飲んでからウイスキー仕入れるようにしています。
やはり自分で飲んで納得したウイスキーじゃないと、なかなかお客様には提供出来ませんからね。

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