あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 グレンフィディックのセミナー その2

barvirgo2016-01-29

さて、グレンフィディックの造りに対する拘り等を聞いた後はテイスティングです。
テイスティングは5種類、「オリジナル」、「12年」、「15年」、そして今月発売になった「18年」、「21年」です。
先ずテイスティングしたのが「オリジナル」、グレンフィディックシングルモルトウイスキーとして世界的に発売を始めた1963年当時の味わいを再現したウイスキーです。
これは当時のレシピと現在蒸溜所に残っている実際に1963年に造られたグレンフィディックを飲んで味わいを再現したそうです。
で、あるじはこの「オリジナル」について実は不思議に思っていた事があったのですが、それが今回のセミナーで解決する事が出来ました。
というのもこの「オリジナル」、1963年当時の味わいを再現したと言っているわりには色が薄く明るいからです。
1960年代当時、スコッチウイスキー業界ではバーボン樽も使われるようになってきたとはいえ熟成樽の主流はまだまだシェリー樽だった筈で、シェリー樽で熟成させたウイスキーの味わいを再現したならウイスキーの色ももっと濃く赤みも帯びるんじゃないかとあるじなんかは思っていたのです。
そして実際今回のセミナーでもブライアン・キンズマン氏は1960年代当時に使っていた樽はシェリー樽が殆どだったと仰られたのですが、ただ当時は樽の流通量が少なかったのでしょう、グレンフィディック蒸溜所ではシェリー樽といっても何度も何度も使われたリフィルのシェリー樽を使っていたという事で、殆ど樽からの成分(色)が出ないものだったそうです。
確かに言われてみれば納得で、1960年代のウイスキー造りの状況も垣間見れ、また「オリジナル」の色の薄い理由も分かり、あるじとしては凄くすっきりしました。
そして次に「12年」、これはもうグレンフィディックのフラッグシップとなるういすきーで、ここでは「オリジナル」との比較で飲むような感じでした。
そして「15年」、これはシェリー酒造りで採用されているソレラシステムを参考にグレンフィディックならではのソレラシステムを考案し、それで造られています。
まあこの造りがなかなか凝っているのでここでも紹介させて頂きます。
ソレラシステム、まあ簡単に言えばウナギのタレ方式で、1998年から行なっているそうですが、ソレラバットという35,000Lの樽で最低15年熟成の原酒を追加熟成させるのですが、このソレラバットからボトリング用に払い出すのは毎回半分だけで、残った半分に次の原酒を継ぎ足し、また追加熟成で味が調ったら半分払い出すという事を1998年から続けているそうです。
そしてソレラバットに補充する15年の原酒は3タイプで、バーボン樽で熟成した原酒を一度マリーングタンクで味を落ち着かせた物、そして同じバーボン樽で熟成させた原酒を新樽(アメリカンホワイトオーク)で3〜4カ月ほど追加熟成させた物、そしてファーストフィルのシェリー樽原酒だそうです。
そして凄いなとあるじが思ったのは味が調い払い出した原酒もまたソレラシステムを使ったマリーングタンクで味を馴染ませ落ち着かせている事です。
こんなに手を掛けているのかと思うと「グレンフィディック15年」、味わいも素晴らしいし価格的にはとても安いような気がします。
そしてまた今日も長くなってしまったので、新商品に関してはまた後日・・・

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