あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

barvirgo2017-03-06

[BAR・お酒] 「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」のセミナー
に先週参加してきました。
スコットランド・スペイサイドで造られているシングルモルトウイスキーマッカランシングルモルトとしての売上げ数では世界第3位、売上額では世界1位のウイスキーです。
数より質に重きをおいているそうで、販売数1位とかは狙っていないそうです。
さて、そんなマッカランから新たな商品がリリースされます。
それが「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」です。
マッカランといえばシェリー樽、というぐらいシェリー樽に拘りをもったウイスキーを以前はリリースしていましたが、世界的なウイスキー需要の伸びもあり数年前からシェリー樽熟成の原酒だけではなくバーボン樽やシェリー樽でもアメリカンホワイトオーク材のシェリー樽も使った「ファインオーク」というシングルモルトウイスキーもリリースしています。
そして今回、ヨーロピアンオークのシェリー樽熟成だけを使った「12年」と「ファインオーク12年」の中間的なウイスキーとしてリリースされるのが「ダブルカスク12年」だそうです。
これはマッカランシェリー樽じゃないとという市場の要望と、そうは言ってもそんなに沢山ヨーロピアンオークのシェリー樽は用意出来ないという中、簡単に言うと「ファインオーク」からバーボン樽熟成の原酒は使わずに構成されたウイスキーをリリースしたと考えると分かりやすいかもしれません。
もちろん実際の「ダブルカスク12年」はそれだけという訳ではないんですけどね。
という訳で前ふりが長くなりましたがセミナーで聞いてきた話を簡単にここで紹介します。
今回講師をしてくださったのはニック・サベージ氏、去年ウィリアム・グラント&サンズ社からマッカランのマスターディスティラーとして移ってこられた方だそうです。
で、他のウイスキーメーカーがウイスキーの味わいは6〜7割が樽での熟成で決まると言うなか流石マッカランマッカランの味わいは80%樽熟成で決まると言っていました。まあらしいですが・・・

そこで樽材に関する話が多くなります。
先ず樽材に使用するアメリカンホワイトオークはアメリカ・オハイオ州から持って来ているそうで、樹齢は約70年ほどの木を伐採しているそうです。
そしてヨーロピアンオークはスペイン北西部、樹齢が約100年の木を使用しているそうです。
同じスペイン内のヨーロピアンオークでも東西で材に含まれる成分が違うので、マッカランでは西の方で伐採しているそうです。
因みにマッカランが選ぶヨーロピアンオークはタンニンの量がアメリカンオークの約5倍含まれているそうです。

そしてこれらの材をスペインのテバサに在るクーパレッジ(樽工場)に運び、そこで改めて木材の状況を検査し、そしてマッカランが考える温度・時間・湿度を守ってトースト(セミナーではチャーではなくこの言い方でした)してもらった樽だけにオロロソシェリーを入れシーズニング(熟成ではなく樽に風味付け)しているそうです。
そこでシーズニングする期間ですが、マッカランではこの期間を18ヶ月にしているそうです。
これは現在熟成樽をシェリー樽と呼ぶ場合は最低12ヶ月のシーズニングが必要となっているそうで、それより長くシーズニングしているという事を今回セミナーでは強調してました。
こうしてシーズニングが終了したシェリー樽はスコットランドに運ばれ、マッカランの原酒が詰められ先ずは6ヵ月後にサンプリングが行なわれ、その後8年10年12年とサンプリングされた後、ヨーロピアンオーク樽とアメリカンホワイトオーク樽2つのシェリー樽で熟成させた原酒をバランスよくヴァッティングして造られたのが「ダブルカスク12年」だそうです。
但し、ヨーロピアンオークのシェリー樽熟成原酒で構成された「12年」はリフィル樽熟成の原酒も使用していますが、この「ダブルカスク12年」の方はファーストフィルの樽で熟成させた原酒のみで構成されているそうです。
そして味わいに関しては・・・、一応試飲させて頂きましたが思いの他ファーストフィルのシェリー樽熟成原酒だけで構成された12年物ウイスキーという感じはしなかったので、構成比は教えて頂けませんでしたがアメリカンホワイトオークのシェリー樽の方がかなり多く使われているのだろうと思われます。
以前限定品ではありますが、ファーストフィルのシェリー樽だけをボトリングした「グランレゼルバ12年」なんていうマッカランがありましたが、同じファーストフィルのシェリー樽熟成なのにここまで違うのか!っていうぐらい違いますからね。
なのである意味シェリー樽由来の味わいが前面に出るウイスキーが苦手な方でも楽しめるマッカランと呼べるのかもしれませんね。
という訳で明日日本発売の「ザ・マッカラン ダブルカスク12年」、他の「12年」、「ファインオーク12年」と飲み比べなんかしてみると、違いがより分かって楽しいと思います。
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