あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 サントリーウイスキーのセミナー 〜4〜

barvirgo2018-02-27

さて、ここまでサントリーウイスキーのつくり分けについて知多と白州のグレーンウイスキーについて聞いて来た話をかいつまんで書いてきましたが、今日は最後山崎蒸溜所でのつくり分けというより、今日「THE ESSENCE シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト」を「THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY」シリーズの1つとしてリリースする事もあってかピーテッドモルトについて話してくれたので、それを少し紹介します。

先ずはこの写真、ピート(泥炭)はよく人が掘っている写真や映像が多く見られるが人が掘っていてはとても現在の生産力に追いつかないので、この写真のような機械でどんどん掘っていくそうです。
機械の前方に黒くて丸い筒が見えますが、その筒の部分で掘るのだそうです。
因みにこの機械はディアジオ社のものだそうです。自分はハイランドパークの機械も見たことがありますが、またこれと違った機械で各社色んな方法で掘っているんだなあと思いました。

そしてこの写真が大麦が発芽していく過程で、左の乾燥した大麦を浸麦させてから発芽乾燥させた時のそれぞれの状態だそうです。
この写真の発芽のところで大麦から伸びているのは芽ではなく根っこで、芽は少し黄色く見える部分で大麦の中で成長しているのだそうです。

そしてこのあと乾燥させる時にピートを焚くわけですが、ここでピートを焚いたモルトに染み込んだフェノールを数値化して公表されることが多いのですが、フェノール値といっても実は色々なフェノール化合物の合計で、大別して写真の中のグラフで8つの上に飛び出た部分を足した数値をトータルフェノールとして数値化しているそうです。

で、幾つかの蒸溜所が公表している最近の数値がこちら、オクトモアが飛びぬけて高くそれ以外だとやはりアードベッグラフロイグといったところが高いフェノール値となっています。

但し、このフェノール値というのはモルトに染み込んだフェノール化合物全体の数値で、この数値が高ければピート由来の香りが強いというわけではないのです。
というのもこの写真、ウイスキー造りでは2回の蒸溜で造るところが多いわけですが2回目の再溜では溜液を3分割して真ん中の本溜(ハート)の部分だけ取り出し、そこだけが樽に詰められウイスキーになるのです。

なので上の写真のように溜液のアルコール度数は時間が経つと下がっていくのに対し、フェノールの数値は時間が経つほど上がっていくのです。
なのでどの部分を取り出すかによってモルトの時点で計った数値とハートの部分の数値は大きく変わってしまうのです。
なのでヘヴィリーピートでフェノール値が高いからといってスモーキーでピーティかというとそんなに強く感じないというウイスキーも出てくるわけです。

という訳でフェノール値の数値としては通常発表されるモルトに染みこませた数値ではなく、この写真のようにウイスキーの中に溶け込んでいるフェノールの数値の方が飲み手としては参考になるのかなあと思いました。
で山崎、山崎のピーテッドはウイスキー内のフェノール値は8.6ppmで、製品としてはボウモアより少しピートが強く感じられるウイスキーに仕上げているそうです。
ただ「THE ESSENCE シングルモルトウイスキー 山崎蒸溜所 ピーテッドモルト」を飲んだ感じでは優しい味わいでほんのりピートって感じでした。
という訳でサントリーのつくり分け、数に限りのある「THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY」シリーズが本日発売になり其処彼処のバーで飲めるようになる筈なので、それぞれ面白いので機会があれば皆さんも是非飲んでみてください。
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