あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

最近のブナハーブン蒸溜所

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の話!
久しぶりの「小言」です。
まあ前回からほぼ1ヶ月、最近は暇なのに忙しいって感じでなかなか「小言」も書いていられません。
で、前々回に今年の3月に英国がロックダウンに入る直前にアイラ島の9蒸溜所とポートエレンモルティングスを周るツアーに参加された方がアイラの各蒸溜所の最近の状況を書いてくれたので、おそらく周った順に書いてくれたと思うのですが先ずカリラ蒸溜所の近況を紹介しました。
で、今回はブナハーブン蒸溜所の近況です。
因みにブナハーブン蒸溜所、ボトルにも EST 1881 と表記されているし実際そういうふうに聞いていたので創業1881年と信じていましたが、これはイコール生産開始ではではなく蒸溜所の建設が始まった年なんだそうです。
なので実際にブナハーブン蒸溜所が生産を始めたのは1883年だそうです。
そして創業当時から途中休止等はあったものの1963年まではヘヴィリーピーテッドのモルトウイスキーを仕込んでいたそうです。
で、1963年に初溜・再溜1セットだった蒸溜器を2セットに増やし、ウォッシュバック(醗酵槽)も現在の6槽に増やし生産能力のアップと当時のウイスキー・マーケットのニーズに合わせたノンピートのモルトウイスキー造りへと移行していったそうです。
それ以来モルトウイスキーの製造設備は現在も全く変わっていないそうです。
但し海沿いのウェアハウス(貯蔵庫)兼フィリングストア(樽詰所)など製造とは関係ない建物等は建て直しが現在行なわれています。
それと造りに関しては現在の親会社の意向もあり、ノンピート80%のヘヴィリーピート20%とヘヴィリーピートのモルトウイスキーがだいぶ増えているそうです。
そして仕込みですが、糖化工程を現在は1回あたり12.5トンの麦芽を11時間かけ67,000リッターの清澄麦汁を取るようにしているそうです。
仕込み量も凄いですが、糖化に11時間というのは他ではあまり聞かないので、かなり長く時間をかけているなと感じますね。
それから醗酵、ウォッシュバックは木製でオレゴンパイン(米松)製、今回のリポートを見ると酵母を使い分けしているのかどうかは分からなかったのですが、醗酵にかける時間が約53時間の時と約110時間の時があるとなっていて、倍以上も時間を変えて醗酵させているは面白いなと思いました。
こんなに掛ける時間が違っても取り出すウォッシュ(醪)のアルコール度数はどちらも約8%だそうです。
そして蒸溜では再溜の際ミドルカットを始めるのが74~72%で、アルコール度数が64%まで下がったらハート(樽に詰める原酒)の部分の取り出しは終了するそうです。
それでアルコール度数の平均値が約68%のハートに加水をして63.5%まで下げ樽詰するそうです。
あと蒸溜所で聞いて来た話のようですが、親会社のさらに親会社(南アフリカのDistell社)がシングルモルト、しかもヘヴィリーピーテッドに熱心だそうなので、今後ブナハーブンのヘヴィリーピーテッドがもっとマーケットに出てくるようになるかもしれないそうです。
日本でも一瞬だけ「トチェック」というピーテッドのブナハーブンがリリースされていましたが、こうしたものが安定してリリースされるようになるとブナハーブンの人気ももっと上がるかもしれませんね。