あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 ブルックラディ・ジムの授業

barvirgo2014-11-19

に昨日参加して来ました。
スコットランドの南西に浮かぶウイスキーの聖地とも言われるアイラ島、そのアイラ島に在るシングルモルトウイスキー蒸溜所ブルックラディ、そのマスタディスティラー(昨日はヘッドディスティラーと紹介されていました)、ジム・マッキュワン氏が来日し、ブルックラディの新商品のお披露目を兼ねたブルックラディについての授業を行なってくれたのです。
ブルックラディはあるじが一番好きな蒸溜所で、あるじの最も尊敬するディスティラーにお会い出来、話が聞けるというのでワクワクしながら参加して来ました。
先ず昨日の話では、ジムがボウモア蒸溜所のブランドアンバサダーをしていた時代、アメリカに行ってボウモアを飲んで貰おうと思っても、当時はピートの香りがするウイスキーはなかなか飲んでもらえなかったが、現在ではピートを焚いたウイスキーは人気が高まり、アイラ島で造られているシングルモルトウイスキーはどこも人気が高まっているという話から始まり、そしてブルックラディ蒸溜所がしばらく閉鎖していた後の2001年に再開し、現在に至るまでの話をして下さいました。
再開からの10年は資金的に乏しく苦労が絶えなかった事、そしてレミーコアントローがオーナーになってくれて資金的に余裕も出来たが、それ以上にレミーコアントローがブルックラディの造りの拘りには口は出さず、それこそ創業当時のコンピューターに頼らない人の手によるウイスキー造り、丁寧に時間を掛けた造りが出来ている事、そしてウイスキー造りではカラメル着色をしているところが多いがブルックラディでは絶対にしない事、また現在はブレンド会社やインデペンデントボトラーには原酒を売らない事、そしてウイスキーでは造ってから製品化まで時間が掛かるので「ボタニストジン」というジンを造った事など話してくださいました。
そして新商品については「ポートチャーロット アイラバーレイ」と「オクトモア6.3アイラバーレイ」をリリースする事、その大麦に対する拘りを話して頂きました。
そうそう、因みにジムの発音ではポートチャーロットなんですが、英語のスペルがPort Charlotteで、英語の発音だとポートシャーロットなので日本でも商品名は「ポートシャーロット アイラバーレイ」として「オクトモア」と合わせ来年2月に日本でも発売されるそうです。
というわけで授業の後は「ブルックラディ」、「ポートチャーロット」、「オクトモア」各種スコティッシュバーレイとアイラバーレイの飲み比べです。
「オクトモア6.3アイラバーレイ」はフェノール値258ppm、アルコール度数64%だそうですが、そこから想像するほどのスモーキーさやピート臭、強さは感じられず、勿論ピートは効いているのですがとてもバランスがよく、そして余韻はとても長く続きます。
パンチで言うと初期の頃の「オクトモア」には敵いませんが、ウイスキーとしては凄く良くなって来た印象を受けました。
それと先には書きませんでしたが凄いと思ったのは、昨年は蒸溜所スタッフが60名と言っていたのが、現在は70名居るという事で、これは大きな蒸溜所でもそんなに働いていないのに、ブルックラディのような小さな蒸溜所でそれだけのスタッフが居るというのは本当にビックリでした。
それと現在は大麦を生産してくれる契約農家が12軒になったそうです。
これも着実に増えていて、アイラ島は小さな島なのですが、その島の雇用拡大に繋がるので素晴らしい事だと感じました。
また授業の後に聞いた話では、当初書く大麦生産農家では違う品種の大麦を育ててもらっていたのが、現在ではアイラ島の潮風の強い環境などを考慮し、全生産農家で同じ品種の大麦を作って貰っているそうです。
そしてポートチャーロット蒸溜所の再建話をネット上では知っていましたが、今回ついにジムの口から直接その話が出て、3年から遅くとも5年後にはポートチャーロット蒸留所が再開稼動する事になるそうです。
それもこれもレミーコアントローが親会社になってくれたからで、買収話が出た時には不安もありましたが、現在ではあるじがお礼を言いたいぐらい嬉しい話です。
そしてポートチャーロット蒸溜所が再稼動を始めたらブルックラディ蒸溜所では「ブルックラディ」を、ポートチャーロット蒸溜所では「ポートチャーロット」と「オクトモア」を生産するように分けるそうです。
後は大麦を生産してくれる農家をもっと増やし、そしてアイラ島産大麦の比率を上げ、そしてモルトバーンを造り、フロアモルティングの再開も進めるそうです。
などなど色々話を聞いて、ジムには「何時アイラに帰って来るんだ?」なんて事も聞かれたりもしたので、あるじ的にはやはりコンスタントにアイラ島には行かなきゃ(帰らなきゃ)いけないなと思いました。
という訳で、あるじラディが好き過ぎて長くなってしまいましたが、もし最後まで読んで下さった方がいらっしゃれば、厚く御礼申し上げます。

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