あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

スペイそして西へ! (15) 〜トマーティン蒸溜所 その2〜

barvirgo2015-10-29

9/24(木)、予定より少し遅くなりましたがトマーティン蒸溜所の見学です。
トマーティン蒸溜所は創業1897年、先ずは簡単な歴史など説明を巨大なモルトストレージ内で伺います。
実はトマーティン蒸溜所は現在の生産量では考えられないぐらい大きな蒸溜所なのです。
ウイスキー需要が高かった1970年代にはポットスティルを23基にするなど生産量的には現在の倍はあったそうです。
なのでモルトストレージも大きく巨大なモルトビンが幾つも収まっていました。
しかしその後のウイスキー不況があり1980年に倒産、1985年に現在の親会社である宝酒造など幾つかの日本企業が買収、そして操業を再開し、生産規模は縮小していますが現在に至り、最近ではブレンデッドウイスキーの原酒としてではなくシングルモルトウイスキーとしての製造販売に力を入れるようになったそうです。
で右上の写真ですが、現在の蒸溜所から見た創業当時蒸溜所として使われていた建物だそうです。
現在は使われていないそうですが、何れは活用したいなんて事を仰ってはいました。

そしてモルトミルは当然のポーティアス、ここではポーティアスの小話を聞きました。
ポーティアスのモルトミルはウイスキー業界では使い勝手がよく壊れないしメンテナンスも簡単と評判が高いのですが、それが仇となって会社が倒産してしまったというのは有名な話なんですが、それがなんと一度ならず二度だったそうで、最初倒産し引き継いだ会社も倒産してしまったんだそうです。
なので確かによく見るとポーティアスのモルトミル、HULL製とLEEDS製があるのが分かり、それで何時の時代のポーティアスかなんていうのが分かるって事を知りました。
良い物を造ったのに潰れる、世の中って不条理ですね。

これも大きなマッシュタン内部と、幾つも並ぶステンレス製のウォッシュバック
マッシュタンは2基あったのを現在は1基しか使っていない為、1基は内部に入って見学出来るようになっていました。


そしてスティルハウスへ、手前の空間は以前ポットスティルが置いてあった場所で、生産量が減った今その空間が在りし日の蒸溜所が如何に凄かったのかを物語っていました。
それと分かりづらい右の写真、初溜釜を下から撮ったものなんですが、垂れ下がっている青い紐が分かるでしょうか?この紐は先の方に木のボールがついていて、紐を引いてボールをポットスティルに当てる事でスティル内の状況を知るものなんだそうです。
通常の初溜釜だとサイトグラスが付いていて、それで中の状況を目視して確認するのですが、木のボールを当ててそれで中の状態が分かるなんて・・・まさに職人技だと感じました。 (続く)

にほんブログ村