あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

スコットランド蒸溜所ツアー 2019 秋 ~20~

f:id:barvirgo:20150924145812j:plain:right:w380トマーティン蒸溜所
見学その2

さてミリングの後はマッシング、トマーティン蒸溜所のマッシュタンもとても大きくそして2槽あります。
但し1槽は今は使っておらず、一部を切断してあって人間が何十人入れるのか?っていうぐらい大きいのを実際に中に入って実感する事が出来ます。
また中に入ることでマッシュタンの構造をよく知る事が出来ます。で、そんなマッシングのお湯の投入は3回、1回目が64.2度、2回目が77度、3回目が90度で、それで約7時間かかるそうです。
f:id:barvirgo:20191123110058j:plain:left:w380そしてマッシングで得た麦汁をファーメンテーション、発酵に回すわけですが、使っているウォッシュバックはステンレス製で現在は12槽、発酵に掛ける時間は約54時間で、ここで珍しいのは使っているイースト(酵母)がパウダーだって事ですね。
ドライイーストやリキッドイーストはよく聞きますが、パウダーというのはあっても不思議はないと思いますが今まで聞いた事はなかったので新たな発見と感じました。
なかなか1回聞いたぐらいじゃ覚えないし、その時々で説明も違うので、やはり1度訪れた蒸溜所でも再び訪れるっていうのは大事だなとこんな時に思います。
そしてここで得たアルコール度数約9%のウォッシュを蒸溜に回すわけです。
f:id:barvirgo:20191123111143j:plain:left:w380というわけでタンルーム(発酵室)の次はスティルハウス(蒸溜棟)に移動します。
トマーティン蒸溜所のスティルハウスはとても広いです。
現在でも初溜・再溜6基ずつの合わせて12基のポットスティルがあるのですが、最盛期にはもっと多くのポットスティルがあり、外されたポットスティルの場所がモルトウイスキー業界の栄枯盛衰を見るようで、今のウイスキーブームをブームで終わらせてはいけないなと改めて感じました。
そしてここでニールさん、トマーティンはハイランドのシングルモルトだけどスペイサイドに近く、スペイサイドのシングルモルトと似たタイプなんだと仰っていました。
f:id:barvirgo:20191123112311j:plainまたあるじは今回トマーティン蒸溜所を見学したのが3回目だったんですが、今回初めてポットスティルの写真を間近で撮らせて頂きました。
バルジ型のポットスティル、約30年で入れ替えるそうですが、基本磨かないのか?年季が感じられて雰囲気も良く感じられました。
そしてこれらのポットスティルで2回蒸溜、約9%のウォッシュが1回目の蒸溜で約22%に、そして2回目の蒸溜で約75%で取り出しているそうです。
という話を伺った後はフィリングストア(樽詰所)に向かいます。
トマーティンはフィリングストアも広く色んな種類の樽が置いてあります。
その中での発見は、Speyside Bourbon Cooperage ,Incと鏡板に焼印が押してあるバーボン樽があったことです。
スペイサイドクーパレッジ、なんとアメリカにバーボン樽を造る工場というか会社を立ち上げていたんですね。
そしてここでは毎週およそ500丁もの樽にニューメークを詰めているんだそうです。
またトマーティン蒸溜所としてはここまで見せて頂いた製造工程が30%、そして樽による熟成が70%、トマーティンの味わいを生んでいると考えているそうです。
造りより熟成が大事なのはよく聞きますが、3:7と考えていると言ってくれる蒸溜所も少ないので、話が聞けて嬉しかったです。
f:id:barvirgo:20191123114658j:plain:left:w380あと伺ったこととしてはトマーティン蒸溜所、ライトリーピーテッドのウイスキー「ク・ボカン」も仕込んでいるのですが、これは11月から12月にかけての6週間、フェノール値15ppmのモルトを使って仕込んでいるそうです。
などなど今回も盛り沢山の話を伺いながら見学させていただき、最後テイスティングルームでニューメークを含む6種類をテイスティングさせて頂き充実した11/23(土)の午前中を過ごす事が出来ました。

~続く~