あるじの小言

「あるじの店」(BAR Virgo)や洋酒(特にウイスキー)、スコットランド、まれに赤坂について書いています。

 サントリー山崎蒸溜所見学 2014 -3-

barvirgo2014-10-05

さて話が長くなってしまいましたが、それでは見学編です。
先にも書きましたが、年内は蒸溜室改装工事中の為見せて頂く事は出来ませんでしたが、外からの見学ではありますが先ず最初に昨年出来た第2蒸溜室を見せて頂きました。
第7、第8の2セット4基で、ちょうど蒸溜も行なわれているところでした。

写真左:第8セットは、奥のスピリットスティル(再溜釜)がバルジ型
写真中:第7セットは、奥のスピリットスティルがストレートヘッド型
写真右:ちょっと見にくいのですが、ちょうどニューメークがスピリットセーフに流れ出ていました。
そして写真で見て頂いても分かるように手前のウォッシュスティル(初溜釜)と奥のスピリットスティルの色が違うのですが、設置した当時は同じ銅製なので同じ色をしていたそうなんですが、蒸溜の際の温度の違いで現在のように色に違いが出たんだそうです。
但しそれも、また時間が経てば同じ色になっていくそうです。
このあたりは蒸気による間接蒸溜ではなく直火蒸留だからこその温度の違いであったり、また新設されたスティルならではの面白い変化なのでしょうね。
で、それからはたぶん一般の見学と同じ様に糖化室に入り、ここで改めてウイスキー造りの話を聞き、それから醗酵室に入り醗酵槽の中など見せて頂きました。

写真左:巨大なマッシュタン(糖化槽)  写真中:オレゴンパイン製ウォッシュバック(醗酵槽)
写真右:投入して3日目のウォッシュ(醗酵醪)
見学ルートには木製のウォッシュバックのみですが、山崎蒸溜所では他にステンレス製のウォッシュバックも使っているそうです。
また酵母も何種類かは教えて頂けませんでしたが、複数使っているそうで、ポットスティルの形も色々違うし、この後見学させて頂く貯蔵庫の樽の種類の多さなども考えると白州より山崎の方が、より沢山の原酒の造り分けをしているのが分かります。
そしてその後は樽払・樽詰機のある場所を見てから貯蔵庫を拝見させて頂きました。


写真左:ダンネージ式(輪木積み)貯蔵庫
写真中:熟成中は年に約3%減るので、その経年変化を見てもらう為に鏡板をガラスにした樽
写真右:山崎蒸溜所で基本的に使われている樽種(バーボンバレル、ホッグスヘッド樽、シェリー樽、ミズナラ樽、パンチョン樽)
で、見学ルートで見られる貯蔵庫は、ダンネージ式の樽を2〜3段積んだスタイルですが、見学ルート意外にはラック式と呼ばれる(白州蒸溜所で見られるタイプの)貯蔵庫も実はあるそうです。
それで現在約5万樽が山崎蒸溜所にあり、それ以外は滋賀県の近江エージングセラー(ここがメイン)と白州蒸溜所にも置いてあったりするそうです。
熟成も色んな場所でさせているんですね。
また貯蔵庫には鏡板が黒い樽が置いてあるのですが、これはグレーンウイスキーで知多蒸溜所で造ったグレーンを山崎蒸溜所を訪れた方にも見てもらうために置いてあるのだそうです。
なので山崎の貯蔵庫に入ったら、そんな樽を探すのも楽しいかもしれませんね。
またエンジェルズシェア、天使の分け前と呼ばれる年に約3%蒸発してしまう様子が分かる様にガラスの鏡板が張られた樽の中身も本物の原酒で、これもブレンダーさんがチェックして何時か皆さんに飲まれるようになるそうです。
見学に訪れたお客様に偽物は見せられないという蒸溜所の方の強い誇りをこの時は感じました。
そして貯蔵庫では樽造りの説明もして貰い、柾目取りについて言葉はよく聞いて知っていたのですが、木材を使って説明してくれたのでこれはよく理解出来てナルホド!と思いました。
それと現在では当然樽の管理はコンピューターで行なっているそうですが、そこは日本最初の蒸溜所、樽を何度も使っているので過去の管理方法が樽の其処彼処に書いてあり、そんなところも見ながら歩くと面白いなと思いました。
樽に「和」と書いてあれば憧れのミズナラ樽だし、正の字の線の数で1空き(ファーストフィル)か2空き(セカンドフィル)3空き(サードフィル)かなど分かるようにしていたそうです。
等々書いていくとキリがないのでこれぐらいに致しますが、蒸溜所は何度行っても新たな発見があり、話を伺っていると本当にウイスキーが好きで本当に美味しい物を造ろうとしているが分かり、是非皆さんにも山崎をはじめ色々と蒸溜所へ見学に訪れて貰いたいなと強く思いました。

にほんブログ村